学術コミュニティは、これまで半世紀にわたり、ジャーナル論文がどのように利用され、研究にどのような影響を与えているかを調査するために、引用を利用してきました。 書籍の場合、引用情報を入手して分析することは常に困難であり、データソースが利用可能になったのはここ10年のことです。書籍がどのように引用されているかを評価することで、研究のインパクトや質、さらにはさまざまな出版プログラムのパフォーマンスについての洞察が得られます。さらに、著者は、自身の著書の成功を測る上で、引用が重要な指標であると報告しています。
書籍の引用分析の重要性を鑑み、シュプリンガー・ネイチャーはScopusの書籍引用データの調査を行い、その結果を白書にまとめています。
- 研究者、出版社、図書館は、引用率を、書籍の成功、品質、および分野間での影響を示す重要な指標として使用しています。
- テーマ別にシリーズで出版された書籍は、単行本に比べ、長きに渡り引用される比率が高い傾向にあります。
- 引用された書籍の割合が全体的に高いことから、分野を問わず、科学コミュニケーションにおける書籍の重要性が浮き彫りになりました。
- 被引用数がピークに達するまでの時間は分野によって異なり、生命科学や物理科学のような研究速度の速い分野が、人文科学や社会科学の分野よりも早く被引用数の半減期を迎えることが明らかになっています。このことは、HSS以外の分野においても、書籍の妥当性を強調しています。
- 書籍の引用分析は比較的新しい研究分野であり、様々な書籍の引用情報ソースを利用し、研究のライフサイクルを促進するために書籍がどのように利用されているかをより理解する、新たな機会が生じています。