オープンサイエンスについて
オープンサイエンスとは、研究サイクル全体にオープンネスの原則を拡大し、可能な限り早い段階で共同研究を促進し、共有することです。これは、科学と研究のあり方を体系的に変えるだけでなく、より発見しやすく、使いやすく、効果的な研究システムをサポートし、知識の発見を発展させます。オープンサイエンスの傘下に、オープンアクセス、オープンデータ、オープンリサーチが入っています。
オープンアクセス(OA;Open Access)
研究成果が出版時に無料でアクセスすることを可能にするための一連の原則と実践方法。OAは、ジャーナルに掲載された論文や書籍などの研究成果をオンラインで無料で即時利用できるようにし、デジタル環境でフルに利用する権利を提供します。
オープンデータ(Open Data)
すべての人が無料で利用、再利用、再配布できるデータ。
シュプリンガー・ネイチャーでは、データはオープンで、アクセス可能で、再利用可能であるべきだと考えています。データの共有は、発見のペースを速め、社会への恩恵をもたらします。
参考リンク:https://www.springernature.com/gp/open-research/open-data
オープンリサーチ(Open Research)
研究結果、データ、プロトコル、研究プロセスのそのほかの重要な部分にアクセスできるようにすることであり、最良の研究実践のアイデアの形態です。
ゴールドオープンアクセス (Gold OA)
出版社のプラットフォームにおいて、論文や書籍をゴールドオープンアクセスで出版するルートです。原稿編集(コピーエディティング)や組版後の最終公開版(VOR;Version of Record)。ゴールドOAで出版された論文は、掲載後直ちにオープンアクセスとなり、プラットフォーム上にて無料で閲覧可能となります。ゴールドOAでは、原稿編集(コピーエディティング)や組版後の最終公開版(VOR;Version of Record)にアクセスできるようになります。ゴールドOAの出版は、論文掲載料(APC;Article Processing Charge)や転換契約によって賄われています。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/about/green-or-gold-routes-to-oa
グリーンオープンアクセス (Green OA)
オープンアクセスのリポジトリーなどにアーカイブされた原稿。おもに、原稿編集(コピーエディティング)や組版前の査読後の著者の受理原稿(AM;Accepted manuscript)のことを指します。エンバーゴ期間後にアクセス可能になります。
エンバーゴ期間:論文の受理原稿をグリーンオープンアクセスでリポジトリーなどに公開するまで著者が待たなければいけない期間。エンバーゴ期間は、ジャーナルによって異なります。
リポジトリー:論文、書籍、報告書などの学術的な成果を掲載し、保存するための機関などのデジタルプラットフォーム。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/about/green-or-gold-routes-to-oa
論文掲載料(APC;Article Processing Charge)について
オープンアクセス(OA)の論文に対するAPCは、査読からコピー編集、専用サーバーでの最終論文のホスティングまで、出版プロセスのすべての段階においてさまざまなサービスをカバーしています。これに加えて、こちらの料金により、論文がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもと、オープンアクセスで公開され、すべての読者がすぐに利用できるようになります。
出版にはコストがかかります。購読ジャーナルは、コンテンツにアクセスするための料金の徴収によって出版費用がカバーされています。ゴールドオープンアクセスのコンテンツは、自由に利用できるため、費用は論文掲載料(APC)によって賄われます。
APCは、論文が受理されてから出版されるまでの間に支払われ、それぞれの出版社、ジャーナル、分野によってAPCが異なります。また、掲載料や出版料を学会などのスポンサーが負担することで、APCを徴収しないジャーナルもあります。
APCには、論文全文への永続的、即時的かつ世界中からのアクセスの提供に加えて、下記が含まれます。
- 編集作業:査読、管理サポート、コンテンツの委託、ジャーナルの開発。
- 技術的なインフラストラクチャーとイノベーション:オンラインジャーナルシステムやウェブサイトの開発、メンテナンス、運用。
- 論文の制作:論文のフォーマット、マークアップ(タグ付け)、インデックスサービスへの登録。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/journals-books/journal-pricing-faqs
https://www.springer.com/gp/authors-editors/authorandreviewertutorials/open-access/article-processing-charges/10286526
プレプリント(Preprint)
ジャーナルで正式な査読を行う前の著者の研究論文の原稿であり、おもに公開サーバーに投稿されます。
参考リンク:https://www.springernature.com/gp/open-research/version-of-record
受理原稿(AM;Accepted manuscript)
ジャーナルで正式な査読が行われた後に受理された原稿。受理後に行われる原稿編集(コピーエディティング)や組版などがされていないバージョン。通常、受理原稿は、リポジトリーや著者のウェブサイトに掲載され、ジャーナルのウェブサイトには掲載されません。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/version-of-record
最終公開版 (VOR;Version of Record)
紙媒体および、またはオンラインでジャーナルに掲載されるバージョン。原稿編集(コピーエディティング)や組版など、査読が完了した受理原稿をできるだけ明快で理解しやすくするために編集が行われる原稿。通常、出版社のウェブサイトでPDFおよび、またはHTML形式で掲載されます。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/version-of-record
ハイブリッドジャーナル(Hybrid Journal)
購読型ジャーナルのうち、受理された論文をゴールドオープンアクセスで出版するオプションを著者に提供するジャーナル。オープンアクセスで出版する場合には、APCが発生します。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/about/oa-effect-hybrid
転換ジャーナル(Transformative Journals)
購読型ジャーナルやハイブリッドジャーナルを完全なオープンアクセスに移行することを公約するジャーナル。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/transformative-journals
転換契約(Transformative Agreements)
転換契約は、参加する機関がジャーナルを購読するためのアクセスとOA出版のコスト(APC)を組み合わせることを可能にする契約です。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/open-research/institutional-agreements
プランs(Plan S)
オープンアクセス(OA)の促進を目的とした計画。
参考リンク:https://www.coalition-s.org/
コアリションs(cOAlition S)
研究資金配分機関の国際コンソーシアム。2018年9月にプランsを策定しました。
参考リンク:https://www.coalition-s.org/about/
プロジェクトディール(Projekt DEAL)
Projekt DEALは、大手学術ジャーナル出版社との全国的な「publish and read」契約の締結を目標として、Alliance of German Science Organizationsの依頼によりGerman Rectors’ Conferenceが設立したコンソーシアムです。Projekt DEALは、ドイツの研究機関に所属する著者が、新しい研究論文の多くをただちにオープンアクセス出版できるようにするとともに、出版社が発行する全ジャーナルのフルテキストへの常時アクセスを提供することへの合意を目指しています。こうしたサービスに対する公正で適切な価格設定は、論文の発表数にもとづく簡潔かつ将来を見据えたモデルによって明確化される必要があります。コンソーシアムは、総合大学、応用科学系大学、研究機関、国立・地方図書館など、大半が公的資金を受けている、700を超えるドイツの学術機関によって構成されています。
参考リンク:www.projekt-deal.de/springer-nature-news
DOI(Digital Object Identifier)
DOI(デジタルオブジェクト識別子)は、インターネット上で機能するよう設計されているオブジェクトのデジタル識別子です。オブジェクトにDOI名を割り当てることにより、インターネットにおけるオブジェクトの場所やオブジェクトに関する情報の場所など、オブジェクトの最新情報にいたる解決可能で永続性のあるネットワークリンクが提供されます。
シュプリンガーネイチャーでは、私たちが出版するすべてのコンテンツは、簡単に識別でき、インターネット上のその場所への永続的なリンクがあるべきだと考えています。そのために、適切なコンテンツにはすべてDOIを付与し、参考文献リストには参照した論文のDOIを記載しています。参考文献リストは現在、オープンに公開されています。
参考リンク:https://www.doi.org/
https://www.springernature.com/gp/policies/publishing-policies
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC License;Creative Commons License)
CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができます。
参考リンク:https://creativecommons.jp/licenses/
クリエイティブ・コモンズの表示4.0ライセンスに依拠するオープンアクセス。
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いCCライセンス。
クリエイティブ・コモンズの表示—非営利—改変禁止4.0ライセンスに依拠するオープンアクセス。
原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的であり、そして元の作品を改変しないことを主な条件に、作品を自由に再配布できるCCライセンス。
日本では、和書から英訳した書籍に使用される。英文書籍をだれかが予期せず、勝手に改変・他言語に翻訳してしまうこと等を防止する。
書籍出版料(BPC;Book Processing Charge)
オープンアクセス(OA)の書籍に対するBPC(章の場合はCPC)は、企画審査、契約、制作(XMLでの制作、Springerスタイルに沿ったレイアウト・フォーマッティング、ゲラ作成、ePub, PDF等の各種形態の電子版・印刷製本版の作成)、電子化および専用サーバーにおける恒久的な掲載・ホスティング、Directory of Open Access Books (DOAB) や PubMed’s NCBI Bookshelf、Web of Science , Scopusなどの抄録・引用文献データベースへの収録申請、出版後のプロモーションなど、出版プロセスの全段階でのサービスをカバーしています。さらに、BPC/CPCにより、書籍(章)がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとでオープンアクセスで公開され、すべての読者がすぐに利用できるようになります。
参考リンク:https://www.springernature.com/gp/open-research/journals-books/books/publish
In Review
In Reviewは、シュプリンガーネイチャーのジャーナルを対象に提供されているサービスで、著者はジャーナル投稿時にオプトイン形式でResearch Squareのプラットフォームにプレプリントとして原稿を掲載することができます。現在、シュプリンガーネイチャーのジャーナル500誌以上がIn Reviewと連携しており、今後も増加する予定です。In Reviewは、早期共有と透明性向上をジャーナル投稿プロセスを統合したサービスです。
参考リンク: https://www.springernature.com/gp/authors/campaigns/in-review
プレスリリース:https://www.springernature.com/jp/20200615-pr-nature-research-in-review-jp/18084642
Research Square
Research Square社が運営するプレプリントのプラットフォームです。
参考リンク: https://www.researchsquare.com/publishers/in-review
FAIR
FAIRは、「Findable(見つけられる)、Accessible(アクセスできる)、Interoperable(相互運用できる)、Reusable(再利用できる)」の略で、データ公開の適切な実施方法を表現した
データ共有の原則です。
参考リンク: https://researchdata.springernature.com/posts/white-paper-the-future-of-fair