2019年4月25日：シュプリンガー・ネイチャー ニュース No.4 / 2019 シュプリンガー・ネイチャー、初の機械生成書籍を出版
今回の革新的な書籍のプロトタイプにおいて、Goethe University Frankfurt/Main（ドイツ）のApplied Computational Linguistics labと協力して開発したアルゴリズムを用いて、リチウムイオン電池に関する最新研究の概要を説得力のある形で機械が自動的に編集しています。
Springer Natureは、化学分野において、初の機械生成書籍を出版しました。同書籍のプロトタイプは、急速に成長しているリチウムイオン電池分野における最新の研究概要を取りまとめたものです。内容は、同分野における多数の最新研究論文を、横断的に集積し、自動要約したものです。膨大な数の論文から構造化された抄録を作成する今回の革新的なパイプラインアーキテクチャーによって、この分野において氾濫する情報を効率的に管理できるよう、研究者を支援することを狙いとしています。
Springer NatureとGoethe University Frankfurt/Mainの研究者が緊密に協力して「Beta Writer」と呼ばれるアルゴリズムを開発しました。この最新アルゴリズムは、Springer NatureのコンテンツプラットフォームSpringerLinkから、同分野の関連出版物を選び出し、取り入れ、処理するために作られました。SpringerLink収録のピアレビュー（査読）・出版済みのコンテンツをもとに、「Beta Writer」は、類似性に基づくクラスター化処理を行うことによって、ソースドキュメントを一貫した章や節を構成するように並べ替えます。その後、論文の簡潔な要約を作成します。抽出・引用された部分はハイパーリンクが付されて参照できるようになっており、読者は、オリジナルのソースドキュメントを詳しく検証することができます。序文、目次、参考文献も自動的に作成され、書籍の構成が容易に把握できるようになっています。
Springer NatureのManaging Director Books、Niels Peter Thomasは、次のように語っています。「学術書出版における長い伝統と専門知識を踏まえ、Springer Natureは、書籍出版および読書の未来を形作ることを目指しています。自然言語処理や人工知能に関する新技術の発達によって、アルゴリズムの助けを借りて科学的コンテンツを生成するという新たな機会が、開けつつあります。世界的な出版社として、機械が生み出すコンテンツのもつ潜在的な意味と限界とを考慮しつつ、この新しいタイプのコンテンツのための合理的なフレームワークを将来に向けて提供することは、私たちの責任であると考えます」
Springer NatureのDirector Product Data & Metadata Management、Henning Schoenenbergerは、次のように付け加えています。「この新たなタイプの研究コンテンツをようやく出版し、世界の研究コミュニティに提供できたことを、とても嬉しく思っています。研究者や著者が自ら執筆する研究論文や書籍は、科学出版において、今後も重要な役割を果たし続けると考えていますが、一方で、将来の学術出版では、様々なタイプのコンテンツが登場すると予想しています。最初からから最後まで人間の手で創り出されたコンテンツから、人間と機械の両方が様々に関与して作られた融合型のテキスト、さらには、完全に機械によって生成されたテキストまで、様々なタイプが登場するでしょう。今回のプロトタイプは、私たちが到達した最初の重要なマイルストーンです。このプロトタイプの発表が、機械生成コンテンツが学術出版にもたらす機会、意義、課題、そして潜在的リスクについて、広く議論を喚起するきっかけとなれば幸いです」
今後、Springer Natureは、今回のパイロットプロジェクトを拡張し、他の研究分野においても、コンテンツのプロトタイプを作成する予定です。今回出版されたリチウムイオン電池に関する研究のプロトタイプは、基礎となる技術をさらに洗練・向上させるための強固な基盤として役立つと考えられます。
Springer Nature初の機械生成書籍は、研究者、修士・博士課程の学生、査読者、学術ライター、図書館員、科学教育に関係する意思決定者など、関心があるあらゆる読者向けに作られました。本書は、電子書籍(eBook)、および印刷版の書籍として提供されています。電子書籍版は、SpringerLinkより無料で入手できます。
この本について
Beta Writer: Lithium-Ion Batteries. A Machine-Generated Summary of Current Research
※本プレスリリースの原本は英語であり、上記の日本語は参考翻訳です。
この書籍が含まれるイーブック・コレクション：Chemistry and Materials Science 2019
Nature Index 2019 Japan
内容 （英語）
- 国外のパートナーとの共同研究により、高品質な研究論文を多く発表している日本の機関はどこか？
- 日本の組織のパートナー：最も頻繁に高品質な共同科学研究を行っている国・機関
- 他国との比較：世界的に見た、高品質な国際共同研究における日本の実績
- 研究の現場における男女比：競合国と比べて、日本では女性の割合が低いのはなぜか？
- 750億円はどうなった？：6年前、大学発ベンチャーへの出資が約束された750億円が未だ使われていないのはどうしてなのか
Nature Index 2019 Japanはどなたでもオンラインで無料でご利用いただけますが、冊子でも多少の在庫をご用意しています。ご入用の方はインスティテューショナル・マーケティングまでご依頼ください。先着10機関様、5冊までと限らせていただきます。
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その他、先月号でもご案内しましたが以下を改訂しています。
- SpringerLink ユーザーガイド：企業様向けSpringer for R&Dにも応用いただけます
- Springer for Health & Hospitals ユーザーガイド：病院様向けプラットフォーム
- Springer Nature eBooks ポスター：主な分野を幅広くご用意しました。書籍のカバー画像は、springer.comの各書籍ページからダウンロードができ、ご自由にお使いいただけます。ポスターには見本として代表的なタイトルを掲載していますが、機関のご購入コレクションに合わせた画像を選び、ご自由にカスタマイズいただくことが可能です。詳しくは各ポスターの2ページ目以降のマニュアルをご参照ください。
- AdisInsights：日本語によるオンラインまたはオフラインでの利用講習会を承ります。既にご契約済のお客様はもちろんのこと、製品の詳しい情報をお知りになりたい方にも個別でご依頼を承ります。
その他の製品もホームページにご用意しております。ご自由にダウンロードいただきご活用ください。
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