2019年8月27日:シュプリンガー・ネイチャー ニュース No.8 / 2019 Springer Nature Experiments、抗体の検索・プロファイリング機能公開

1. Springer Nature Experiments、抗体の検索・プロファイリング機能公開

科学の進展は、発表された実験結果の再現性に大きく依存します。ところが、この再現性が得られないために、研究者が費やす貴重な時間やリソースに多大な影響が及ぶことも少なくありません。2016年のNatureの調査によると、ライフサイエンス系研究者のうち50%以上が、他の研究者もしくは自身が発表した実験結果の再現に失敗していることが判明しています。この再現性の危機に関わる重要な側面として、研究論文で発表される試薬、とりわけ抗体に関する情報が挙げられます。

このような状況を鑑み、この度、Springer Nature Experimentsは抗体の検索・プロファイリングのソリューション(ベータ版)を発表しました。厳選した実験プロトコルで特に多く使われている抗体の具体的な実験条件について、一目でわかるように整理されたデータが表示されます。

検索ボックス下のAntibody Data Searchをクリックすると、抗体検索ページに移動し、新しい抗体機能の概要が把握できるようになっています。ここでは、抗ウサギIgGの実験をGoogleで検索した結果が、Experimentsプラットフォーム上の新しい抗体ページに直接表示されます。

 抗体検索ページ

各抗体の簡単なサマリーが表示されるため、それぞれの抗体プロファイルページにあるデータ全体の事前評価に役立ちます。各サマリーには、抗体名、標的タンパク質(抗原)、抗体タイプ(一次または二次)、過去にこの抗体が試薬として使用された手法が含まれています。
注:本データは精選された論文に限定されています。フィルターを使って1度に1つの抗体を選択することもできます。サマリーにある抗体名をクリックすると、抗体プロファイルのページに移動します。

抗体プロファイルページ

今回のベータ版では、抗体プロファイルとして、抗ウサギIgG抗体抗リン酸化Akt抗体抗FLAG M2抗体抗βアクチン抗体抗カスパーゼ3抗体の5種類のページが用意されています。抗体プロファイルページには、実験実施のためのプロトコルや抗体の選定に不可欠な情報が掲載されています。

抗体に関する情報は表形式で次のように表示されます。

  • 当該抗体が試薬として使われている手法
  • 抗体作製に用いられた宿主(動物または細胞株)
  • 終濃度(希釈率または他の単位)
  • メーカー名やカタログ番号など供給元の詳細
  • 標識(蛍光色素、酵素など)
  • 抗体の希釈に一般的に用いられる緩衝液の名称とその調製方法
  • 抗体の「有効性」を判断する手法の実験結果を示す図表
  • プロトコルのタイトルと評価ページへのリンク
     

検索ページの抗体フィルター

抗体に基づいてプロトコルを選択する場合には、検索ページの左に抗体をフィルタリングできるナビゲーションが用意されています。ここで、特定の抗体のみ、あるいは別の抗体や手法その他のフィルターとの組み合わせの形で抗体を選択できます。ただし、ベータ版では、同機能の適用対象は一部の論文に限定されています。

※本案内の原本は英語であり、上記の日本語は参考翻訳です。Springer Nature Experimentsの更新案内は主に専用コミュニティページに掲載されます。
※再現性の問題:2013年5月、Nature編集部はMethodsやProtocolsをより詳細に記述する新編集方針を導入しています。また、データをまとめたり解釈したりする「統計手法」を明確に表現しています。
 


2. SpringerMaterials アップデート

7月にランドルト・ベルンシュタイン7タイトルとSpringerMaterials Fundamentalsの1タイトルが追加されました。

  • LB II/20C2: Molecular Constants Mostly from Infrared Spectroscopy. Non-linear Triatomic Molecules, Part 2: Ozone  O3(オゾン)に関する赤外分光データを含む。
  • LB III/37C1, III/37C2, III/37C3: Phase Diagrams and Physical Properties of Nonequilibrium Alloys. Subvolume C: Physical Properties of Multi-Component Amorphous Alloys これら3タイトルには、多成分系バルク金属ガラスの構造および以下の特性に関する情報がまとめられている;物理特性、機械的特性、磁気特性、電気特性、および一部の化学特性。
  • LB III/44H: Semiconductors. New Data and Updates for IIa-VI Compounds with Mg and Sr (Structural Properties, Thermal and Thermodynamic Properties, and Lattice Properties)  Mg およびSrを含有するIIa-VI族化合物半導体の特性に関するデータを含む。
  • LB III/45B: Physics of Solid Surfaces. Subvolume B  表面科学の全分野を対象に過去と現在の研究の概要をまとめている。
  • LB IV/9B2: Electrochemistry. Subvolume B: Electrical Conductivities and Equilibria of Electrochemical Systems - Part 2: Deep Eutectic Solvents and Electrolyte Solutions 深共晶溶媒および電解液の電解伝導性に関するデータを幅広く集めている。
  • Engineered Cementitious Composites 材料設計手法、加工法、機械的特性および耐久性、スマート機能、応用事例研究を包括的に掲載したレファレンス・ブック。

詳しくはSpringerMaterialsをご覧ください。
SpringerMaterials 製品案内(日本語)

3. Natureダイジェストとnatureasia.com のセミナー資料公開

過日ご案内しましたとおり、シュプリンガー・ネイチャーの唯一の日本語マガジン、Natureダイジェストは、Nature Researchの日本語サイト( natureasia.com )でご利用いただけるようになりました。

natureasia.com は、NatureおよびNature関連誌のアブストラクト翻訳などを提供しています。NatureダイジェストはHTML版で、バックナンバーも含めたフルテキスト検索もできます。日本語のコンテンツがまとまって掲載されていることで、授業などにも便利にお使いいただけます。

7月に行った日本語コンテンツ編集担当者による発表スライドを公開しました。以下のイベントレポートよりダウンロードいただき、ご活用ください。

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