【プレスリリース】最新版Nature Index発表――自然科学では中国、健康科学では米国が首位

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中国の研究論文発表数(アウトプット)は2年連続で上位10カ国の中で最も増加しました。2023年のNature Index Annual Tablesは、中国が自然科学分野の先進国として米国を凌ぐことに貢献した研究機関を明らかにしています。

ロンドン|ベルリン|シドニー|東京 2023年6月15日

2023年版Nature Index Annual Tablesは、2022年に発表された質の高い研究に最も貢献した研究機関および国を調査したものです。本日発表されたこのランキング表によると、自然科学分野では中国が米国を上回って首位の座を獲得しました。一方、今回初めて対象となった健康科学分野*では米国が首位を獲得しています。

中国は4つの自然科学分野(物理科学、化学、生物科学**、地球環境科学)における研究に総合的に貢献したことが認められ、前年の2位から首位に浮上しました。Nature Indexが対象とするこの4分野はShare(シェア)を測定基準としています。Adjusted Share(調整後のシェア)が2021年から21.4%増加した中国は、ランキング表の上位10カ国の中で最大の増加率となりました。

Nature Indexの主要な指標であるShareは、機関、都市や国・地域に割り当てられた論文の端数カウントで、その機関や場所に所属する論文の著者の比率を考慮したものです。Adjusted Shareは、Nature Indexに掲載されている論文の総数の年間変動を考慮しています(詳細については、下記「Nature Indexの指標について」をご覧ください)。

自然科学分野で圧倒的な中国の存在感は、研究機関のランキング表でも突出しています。

  • 上位10機関のうち6機関が中国の研究機関で、その他は米国が2機関、フランスとドイツがそれぞれ1機関となっています。
  • Nature Index の創設以来11年連続で中国科学院(CAS;Chinese Academy of Sciences)が首位を守っており、2022年のShareは2,054です。これは2位のハーバード大学(米国)のShareである813、3位のマックスプランク協会(ドイツ)のShareである682を大きくリードしています。 
  • 地球環境科学においては、中国の中山大学(Sun Yat-sen University)が2021年から2022年までにAdjusted Shareが50%以上の増加となっています。 生物科学分野では中国の復旦大学(Fudan University)が65%の増加です。 
  • 化学では上位20機関のうち18機関を中国の研究機関が占めています。

米国は研究論文発表数でこそ中国に首位の座を奪われましたが、ランキング表での米国の圧倒的な存在感に変わりはありません。自然科学分野の上位50機関のうち、19機関を米国が占め、中国に匹敵する存在感を示しています。

今年初めて、医学ジャーナル64誌に掲載された論文をデータベースに取り込んだため、利用者は健康科学の傾向を把握できるようになりました。健康科学分野で米国は大きくリードしており、Shareの5,352は2位につけた中国の1,287の4倍以上です。

  • 健康科学分野の上位20機関のうち15機関が米国です。 
  • 健康科学分野において、ハーバード大学(米国)のShareが487で首位を獲得、2位がアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)でShareは188です。
  • 健康科学分野において、 上位20 の機関に米国以外で入ったのは、カナダ、中国、スウェーデン、英国のみです。

Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks(デイヴィッド・スウィンバンクス)は、次のようにコメントしています。

「この数年のNature Index Annual Tablesの傾向を見ると、中国は研究投資の結果、自然科学分野で米国を上回ることになるのは疑いようもなく、時間の問題だけであることはわかっていました。2021年から2022年までの増加の大きさから、中国以外の国の落ち込みは当然の成り行きであり、そのほかの主要国全体で減少しています。しかし、中国の強さはまだ健康科学分野には及んでおらず、この分野では米国が世界をリードしています」

「中国と米国を除くと、世界全体では増減が入り交じっています。ラテンアメリカでは大幅な落ち込みが見られ、ブラジル、チリ、メキシコのShareは大きく減少しました。また、次の国においては、Adjusted Shareが2桁減少しました:オーストラリア(−14%)、シンガポール(−15%)およびロシア(−17%)。

<Nature Index 2023:日本の研究力>

日本は国別ランキングにおいて5位を維持するものの、自然科学分野のアウトプットは2年連続で減少しました。

2023年のNature Index Annual Tablesでは、データベースが更新され、これまでの自然科学のジャーナル82誌に加えて、医学ジャーナル64誌からの一次研究論文も追加され、新たに健康科学分野の傾向を見ることができるようになりました。

「自然科学分野のみ」および「自然科学と健康科学分野」の両方の国・地域別ランキングにおいて、日本は5位です。「健康科学分野のみ」の国・地域別ランキングにおいては、日本は9位です。

2023年「自然科学分野のみ」の国・地域別ランキング

自然科学のみの日本のShareは、2,742.49であり、アウトプット(Adjusted Share)は9.6%減少し、上位5カ国の中で最も高い減少幅でした〔上位5カ国の順位とアウトプット:1位 中国(+21.4%)、2位 米国(−6.9%)、3位 ドイツ(−9.1%)、4位 英国(−8.9%)、5位 日本(−9.6%)〕。

2023年「自然科学分野のみ」の世界の研究機関ランキング

自然科学のみのトップ100にランクインした日本の研究機関(2023年に更新)は、東京大学(2023年:18位、2022年:14位、2021年:8位)、京都大学(2023年:44位、2022年:37位、2021年:37位)、大阪大学(2023年:74位、2022年:64位、2021年:65位)、および東北大学(2023年:89位、2022年:103位、2021年:76位)です。

上位100位内の日本の機関は、東北大学(+9.9%)を除き、2022年中のAdjusted Shareが減少しました。日本の機関の2022年のAdjusted Shareの差は、京都大学が5.6%、大阪大学が8.9%、東京大学が11.7%減少しました。東京大学のAdjusted Shareの減少率は、トップ20の機関のうち、最も減少率が高かった英国のオックスフォード大学(19位、−16.7%)に次ぐものです〔最も増加率が高かったのは、中国の南京大学(Nanking University;7位、+25.5%)〕。

2022年にトップ100機関にランクインした理化学研究所は、今回トップ100から外れ、2023年のランキングでは103位になりました。

2023年「自然科学と健康科学分野(新たな指標)」の世界の研究機関ランキング

自然科学と健康科学分野のトップ100にランクインした日本の研究機関は、東京大学(2023年:20位)、京都大学(2023年:44位)、大阪大学(2023年:77位)、および東北大学(2023年:99位)であり、これらの機関は、「自然科学分野のみ」のトップ100にもランクインしています。

2023年「健康科学分野(新たな指標)のみ」の世界の研究機関ランキング

健康科学分野のみのトップ100にランクインした日本の研究機関は、東京大学(2023年:64位)でした。

※ この順位は2023年6月12日時点のものです。Nature Indexのデータベースは定期的に更新されますので、最新の順位はhttps://www.nature.com/nature-index/をご参照ください。

2023年の研究機関ランキングは、2022年1月1日から2022年12月31日までのNature Indexデータにもとづいて、Shareでランキングされた上位機関を示しています。 2023年の研究機関ランキングは、https://www.nature.com/nature-index/でご覧いただけます。

編集者への注記

研究成果を分野別に分類し、研究分野別の主要な研究機関の一覧表を掲載しています。

Nature Indexは、Nature Research Intelligenceの一部であり、高品質な科学研究の世界をナビゲートし、情報に基づいた研究決定を行い、自信を持って共同研究を行うことができるようにします。

また、Nature Indexの一覧に掲載された大学・研究機関・企業に向けて「Nature Indexバッジ」を提供しております(無償)。このバッジは、ウェブサイトやSNSのプロモーションにご活用いただけます()。バッジをご希望の場合は、メールにてお申し込みください。

Nature Index Annual Tablesは、自然科学および健康科学における高い研究成果を示す良い指標ですが、読者が研究の質や機関業績を考える際に、データ、ソフトウェア、知的財産などほかの科学的成果とともにこの調査結果を利用することを推奨しています。

なお、Nature Indexはゼロサムゲームであり、Indexに登録されているジャーナルに掲載される論文の数は年間約7万5000本と有限であることを留意する必要があります。今回、中国とその研究機関がアウトプットを非常に伸ばしてきたために、Indexの対象となる146誌における出版の競争において、結果として、ほかの国とその研究機関はその順位が下がりました。

*自然科学(natural sciences)分野と同様に、健康科学(health sciences)分野の学術誌は、独立した臨床研究者のパネルによって決定され、より広い研究コミュニティーに対するグローバルな調査によって情報を得ています。

**「生物科学(biological sciences)」は、これまで「生命科学(life sciences)」という分野の呼称でした。

Nature Indexの指標について

Nature Indexは、機関の研究パフォーマンスにおける1つの指標です。Nature Indexのリストを作成するために使用されるCountとShareの測定基準は、その分野の主要な科学者によって構成された独立したパネルによる評判にもとづいて選択された、合計146の自然科学(82)と健康科学(64)のジャーナルにおける機関または国・地域の論文出版の成果にもとづいています。Nature Indexは、研究の質と機関のパフォーマンスを検討する際には、そのほかの多くの要素を考慮しなければならないことを認識しています。Nature Indexの指標のみを機関や個人の評価に使用することを推奨しておりません。Nature Indexのデータとメソッドは透明性があり、https://www.nature.com/nature-index/ のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにもとづいて利用可能です。詳細については、https://www.nature.com/nature-index/glossary をご覧ください。

Nature Indexについて

2014年11月に初公開されたNature Indexは、所属する著者および機関の関係を示すデータベースです。Nature Indexは、独立した研究者グループによって選ばれた、合計146の質の高い自然科学と健康科学のジャーナルに掲載された研究論文への貢献度を追跡します。

Nature Indexは、機関レベルおよび国・地域レベルでの発表論文の絶対数および割合数を提供します。そのため、質の高い研究成果および共同研究のグローバルな指標となります。Nature Indexのデータは定期的に更新され、直近12か月のデータは、https://www.nature.com/nature-index/のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにもとづいて利用可能になります。 データベースは、シュプリンガーネイチャーの一部であるNature Research Intelligenceによって管理されています。

詳細につきましては、Nature IndexのFAQをご覧ください。

Nature Indexでは、研究成果発表数の指標として以下の種類のカウント法を採用しています:

  • Count(カウント)(以前の名称:Article count(AC))– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(Countを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてCountとして数えられることを意味します。 
  • Share(シェア)(以前の名称:Fractional count(FC))– Shareは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大Shareは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のShareを割り振られることになります。(Nature Indexは、国、地域、または機関による論文への貢献を収集し、それらが2回以上カウントされないようにするために、Shareを使用します。機関のShareの合計は、個々の所属著者のShareを合計して計算されます。この計算法は、国と地域で同じですが、一部の機関は海外に研究拠点があり、ホスト国・地域の合計にカウントされるため、複雑になっています。)

Nature Research Intelligenceについて

Nature Research Intelligence(ネイチャー・リサーチ・インテリジェンス)は、現実社会での影響に特に焦点を当てて研究機関の皆様に結果を提示します。それにより皆様は研究プロジェクトから最大限のメリットを引き出す上で最も効果的な研究戦略や共同研究を見極めることができます。

研究機関の皆さまは、Nature Research Intelligenceの幅広いデータ分析ソリューションを活用していただくことで、研究環境に関する詳細な評価を入手し、その分野における所属機関の順位を把握するとともに、情報過多にならない簡潔な研究概要書を作成することができます。これに加えNRIは、皆様が今後の研究戦略を策定し、最適化する支援もいたします。

ネイチャーポートフォリオについて

ネイチャーポートフォリオは、生命科学・物理学・化学・応用科学など多岐にわたる分野で高品質のジャーナル、オンラインデータベース、研究者を対象としたサービスなど、科学界への貢献を目的としたサービスから成るポートフォリオを提供しています。

1869年創刊のNature は、世界有数の週刊の国際科学雑誌です。さらに、ネイチャーポートフォリオは、Natureリサーチ誌とNatureレビュー誌をはじめ、オープンアクセスの主要な学際的ジャーナルであるNature Communications 、Scientific Reports など、研究機関と学会の協力によるNature Partner Journalsも出版しています。これらのジャーナルには、世界で最も重要な科学的発見が掲載されています。

オンラインのnature.comには、1カ月当たり900万人を超えるユーザーが訪れ、Nature のニュース記事やコメント記事、そしてNature Careersなどの科学求人サイトにアクセスしています。また、ネイチャーポートフォリオは、オンラインおよび対面によるトレーニングや専門家による英文校正サービスなど、さまざまな研究者支援サービスも提供しています。

詳しい情報については、nature.comをご覧いただき、 @NaturePortfolio のフォローをお願いいたします。ネイチャーポートフォリオは、シュプリンガーネイチャーの一部です。

シュプリンガーネイチャーについて

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学術出版社として、シュプリンガーネイチャーは、シュプリンガー、ネイチャーポートフォリオ、BMC、Palgrave Macmillan、Scientific Americanなどの信頼されたブランドを有しています。詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子

シュプリンガーネイチャー

コーポレート・アフェアーズ

E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース:New Nature Index data shows China on top for natural sciences as US leads on health sciences research

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