生物医学・ライフサイエンス分野の最新動向

Springerの生物医学・ライフサイエンス編集部の書籍出版部長であるPaul Roosに生物医学・ライフサイエンス分野の最新動向を伺いました。Roosは医用画像の博士号を有し、1992年に数学の編集者としてシュプリンガーネイチャー(当時はKluwer Academic Publishers)に入社しました。Paul Roos

私たちの生命、そして生活は、この地球上の植物、動物、微生物によって支えられています。しかし今、大規模な環境変化が急速に進行し、人間の存在自体が脅かされています。現時点で、私たちに残された唯一の希望は、断固たる行動を起こすことですが、その行動は生命に直接かかわる領域の研究に根ざしていなければなりません。生物医学・ライフサイエンス分野は、まさにそれを実現するものです。

以下はPaul Roosへのインタビュー、一問一答です。


この数年間で、生物医学・ライフサイエンスの書籍出版プログラムはどのように発展しましたか?

まず、生物医学・ライフサイエンスのイーブック・コレクションに含まれるタイトル数を全体的に伸ばすことができました。ワークフローを合理化したことで、出版のスピードと競争力も高まりました。ゲノム編集(CRISPR/Cas9)や急発展しているエピジェネティクス等の注目分野に速やかに対応できたのは、そのおかげです。本コレクションには、こうした新しいトピックを扱ったイーブック が数多く含まれています。

専門性の高いトピックを扱うイーブック も増えており、特に応用科学には力を入れています。最先端の獣医学に関するタイトルも追加しました。農学、林学、昆虫学、植物科学の領域では持続可能な開発目標(SDGs)にも注目しています。

生物医学・ライフサイエンス分野で現在注目されている研究トレンドは何でしょうか?

RNA編集、遺伝子・ゲノム編集(CRISPR/Cas9)、サステナビリティ(持続可能性)、遺伝子治療、遺伝子医療、マイクロ流体技術、マイクロバイオーム、バイオフィルム、ウイルス学、新しいイメージング技術(名の巣コピー)、エピジェネティクス・幹細胞技術、代謝経路工学、持続可能な農業、生物多様性などがあります。こうしたトピックに関する書籍も出版しました。

生物医学・ライフサイエンスコレクションの特徴は何でしょうか?

科学の最前線を扱っていることです。私たちの出版プログラムは、(急発展している領域の)最先端の研究成果を既存の知識と融合させ、今後の進展に対する見通しを読者に提供しています。

研究や政府機関の助成方針に合わせ、生物医学・ライフサイエンスのイーブック・コレクションの中心は、(人間の)健康、そして国連の持続可能な開発目標(SDGs)の全項目に関連した領域に関する研究です。報告される研究の多くは国連や全米科学財団(NSF)、世界保健機関(WHO)、米国立衛生研究所(NIH)、欧州連合(EU)といった主要な資金提供団体の支援を受けていますが、著者や編者は、世界のトップ研究機関を代表する、まさに国際的な顔ぶれとなっています。

本コレクションは、毎年700点を超える新刊が出版されています。扱うトピックや専門分野はさまざまですが、地球上の生命の健康に貢献するという目標は共通しています。

生物医学・ライフサイエンスの分野では、オープンアクセス(OA)であることはどの程度重要ですか?OA書籍は増えているのでしょうか?

生物医学の分野では、OAはジャーナルに関連して注目されていますが、ライフサイエンス、特に政府の助成を受けた研究では、OA書籍の形で出版する需要が高まっています。これは著者・編者向けのサービスでもあります。


Biomedical & Life Sciences イーブック・コレクション

医学、農学、バイオテクノロジーなど、地球上の生命の質の維持・向上に不可欠な研究分野を網羅しています。感染症の伝播パターンから生物多様性の喪失の原因となるプロセスまで、幅広いテーマについて世界中の信頼できる著者によって、最新の研究成果を収録しています。


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