シュプリンガー・イーブックス 利用者の声:法政大学情報科学部コンピュータ科学科 教授 劉 少英 先生

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前 法政大学情報科学部コンピュータ科学科の劉 少英(リュウ ショウェイ)教授(現在、広島大学先進理工系科学研究科教授)、イーブックを研究発表の場として、また教育リソースとして効果的に活用されています。授業にイーブックを利用すること、また、大学図書館がイーブックを所有することのメリットや、劉教授の今後の出版目標などについても語っていただきました。


国際化が進む日本の大学において、図書館が英文書籍のイーブックを所蔵することを、国際化の指標として高く評価したい

Q.先生のご研究の内容と研究室についてご紹介ください。

私の研究は大きい分野でいうとソフトウェア工学です。研究の内容としては、形式工学手法、つまり数学を用いてソフトウェアシステムを開発する手法なのですが、伝統的な形式手法より実用性の高い形式的なやりかたと、その手法を集中して研究してきました。基本的にはそのソフトウェアシステムの信頼性と安全性(セーフティとセキュリティの両方を含める)を保証する技術です。研究室は現在、博士が1名、9月からもう1名来ます。修士は3名、4年生の学生は7名。そのうち留学生は博士2名、修士2名の計4名です。学生たちも、この分野のさまざまな課題について研究しています。


Q.授業は英語で行っていらっしゃいますか。

大学生の授業は基本的には日本語です。ときどきは英語でしゃべりますけれども、基本的には日本語で。大学院生、特に修士の授業は全部英語で行っています。大学院生のゼミも全部英語で書いたり、質問したりすることになっています。


Q.先生は書籍の著者としてもご高名ですが、著者としてイーブックのメリットはどのようなものがあるでしょうか。

普段は研究者としてジャーナルや国際会議で、論文を発表することが多いのですが、論文と比べてイーブックの方がページ数に制限がないので、技術を細かく系統的にたくさんの事例を使って紹介することができるのが非常に良いですね。紹介する技術に関わる参考資料、例えば仕様、設計図、コード、テストデータといった、様々な必要資料も入れることができます。もう一つはやはり、国際会議や他の大学訪問で講演をする時に、イーブックは紹介しやすいです。昔は自分の本を紹介するために、重くても冊子を持っていかねばならなかったのですが、今はそのイーブック版のリンクがありますので、紹介がしやすいと思います。


Q.教育者として教育面でのイーブックの良いところをお話しいただけますか。

イーブックでは基礎的な技術と知識を系統的に紹介することができます。細かく書くことができるのがいいところだと思います。また、普段は(読者である)先生も学生も時間があまりないですよね。だから本は、早く簡単にアクセスできればいい。その点でもイーブックがいい。さらにイーブックは持ちこみやすい。重量がない。昔のように冊子の書籍であれば重いでしょう。イーブックは授業の中で使いやすいと思います。


Q.先生は授業でイーブックの内容を引用して教えられることはありますか。

あります。特に大学院生のゼミの時に、一部の学生が、基本的な知識が足りない場合は、「この本を参考にしてください」と。その場合にイーブック版があれば、リンクがありますので紹介しやすいですね。


Q.法政大学はイーブックをコレクションで所蔵されています。大学での電子ブック利用にはどのような利点があるとお考えでしょうか。

やはりイーブックがあると、先生も学生も簡単にアクセスできますので、授業で使いやすい。冊子の書籍を購入するより、イーブック利用の方がコストが低いので、学生にとっては負担が少ないです。それで学生も積極的に参考にすることができますよね。まあ、この頃は日本でもスーパーグローバル大学など、留学生を受け入れて教育している。そして国際化が進んでいますので、外国の訪問者もどんどん来ます。大学の図書館が英文書籍のイーブックを所蔵していると、国際化の指標として高く評価されるのではないかなと。そういうところでも利点があります。また、私も自分の研究室で座りながら、すぐに自由にイーブックにアクセスできます。学生も研究に、勉強に、時間を節約できますし。それは非常によいと思います。


Q.先生は他の研究者の方々の本もイーブックでお読みになりますか。

 もちろん。特に研究では自分の本だけでなく、他の人が書いた本、特に自分や学生の研究に関わる基礎知識の本を利用します。学生はそういう本があっても、知らない場合もありますので、紹介して、参考にしていきます。


Q.今後、どのような本をお書きになりたいか、構想をお話し下さい。

私のソフトウェア工学分野の研究歴は40年近いのです。そして形式工学手法の研究は30年になります。特に最近5年間はアジャイルソフトウェア開発の方法と、今まで開発してきた形式工学手法、つまり数学を使って厳密的にソフトウェアを開発する方法を融合して、より使いやすい厳密で系統的なソフトウェア開発方法を生み出してきました。それを学生たちや世界に紹介したいので、研究をまとめて本を出したい。出版したら授業に使ったり、国際講演をするときに使ったり、コミュニケーションするときにも使うつもりです。まあ、それは来年以降になりますけれど。


Q.先生の代表的著書をご紹介ください。

2004年にシュプリンガーで出版してもらった、「Formal Engineering for Industrial Software Development」です。この本は基本的に、今まで開発されたフォーマルメソッド(厳密的な開発方法)と伝統的なソフトウェア工学の技術を融合し、統合して、より実用性が高いフォーマルメソッドの開発を紹介しています。この本は今までおそらく20大学の大学院生と学生の授業で読まれていると思います。


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【劉先生にとってのイーブックのメリット】

  1. ページ数に制限がないので、メソッドを細かく系統的に、多くの事例を使って紹介することができる。
  2. リンクを使って、いつでもどこでも幅広く自著を紹介できる。
  3. ダウンロードができて持ち運びが便利。場所をとらない。
  4. 図書館契約なら、学生と教員双方のコストと時間が節約でき、授業の参考資料として適している。

* 所属、タイトル、研究内容や研究室の構成は2019年8月時点の情報です


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