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[プレスリリース] 日本におけるオープンサイエンスの実現に向けて:研究データの共有には広い範囲の連携と優れた実施例が求められる

オープンサイエンスへの動きが進むにつれて、データ共有と管理の重要性が増しています。 日本の1,000人を超える研究者を対象とした今回の調査では、95%の研究者が研究データを共有していると回答しましたが、多くの研究者は、同僚間でプライベートに共有していることが明らかになりました。

ロンドン | 東京 2019年5月23日

シュプリンガー・ネイチャーが今回発行する白書「Challenges and Opportunities for Data Sharing in Japan(日本におけるデータ共有の課題と機会)」は、データの共有と管理に関して、日本の研究者を対象に調査した結果を報告しています。このレポートには、日本の研究コミュニティの有識者による円卓会議で議論された内容の概要も含まれており、有識者がオープンサイエンスへのコミットメントおよびデータ共有への強い意欲を表しているとともに、優れた実施例は、専門分野に特化し、研究者主導で行われることが望ましいことを提言しています。今回の調査結果の詳細は、2019年5月27日―28日に東京で開催されるJapan Open Science Summit (JOSS) 2019で発表されます。

オープンサイエンスは、研究プロセスのすべての段階において、科学的研究に関連するあらゆるリソースを共有することに対する障害を取り除くことを目的としています。データの共有は、科学的研究のプロセスにおける透明性、公開性、効率性を確保するのに役立つとともに、より大きな連携につながる可能性があります。

日本で実施された調査結果から、95%の研究者がデータを共有していることが明らかになりました。データを共有している回答者のうち、62%の研究者がパブリックにもプライベートにもデータを共有していたのに対し、36%の研究者は主に同僚の間でデータをプライベートにのみ共有していることが示されました。世界平均では、研究者の70%がパブリックにもプライベートにもデータを共有しています。

また、物理学者(40%)が生物学者(30%)に比べて、よりプライベートにデータを共有している、という分野による違いも見受けられました。日本の研究者によるプライベートな共有の方法は、電子メール(65%)、およびUSBやフラッシュドライブなどの外部記憶装置(41%)でした。 これらの結果から、データをより見つけやすく、使用しやすくするデータリポジトリの使用など、データ共有を行うためのより安全で持続的なメカニズムといったベストプラクティスに対する認識が低いことが判明しました。

日本において、研究者がデータを共有する主な2つの理由は、自身の分野での研究を進展させる(50%)、およびデータの透明性と再利用のため(42%)です。データセットの共有に対する懸念として述べられていたのは、データの乱用(49%)、そして、著作権およびライセンスの問題(42%)でした。

今回の調査結果によると、日本の研究者の56%がデータ管理計画(DMP: Data Management Plan)を1回以上作成しています。 DMPとは、研究データの収集、保存、共有方法について定める文書であり、FAIR(findable(発見可能)、accessible(アクセス可能)、interoperable(相互運用可能)、reusable(再利用可能))原則として知られるデータ管理基準が研究コミュニティによって提示されています。

中国で実施された同様の調査では、93%の研究者がDMPを作成したと回答しています。この割合は、世界平均の70%を超えています。ただし、DMPの作成の頻度は様々で、日本、中国、および世界で常にDMPを作成している研究者の割合は、それぞれ12%、13%、9%という結果でした。

日本においては、これまでDMPを作成してこなかった主な理由としては、「DMPを聞いたことがない」、または、「資金提供者や所属機関からDMPの作成を要求されていない」ことがあげられました。回答者の23%が、「主要な資金提供者のどのような要求がデータ共有に関連しているかを知らない」そして、34%の研究者が、「主要な資金提供者のどのような要求がDMPに関連しているかを知らない」と回答しました。

2018年に開催された円卓会議において、東北大学、国立情報学研究所、科学技術振興機構、独立行政法人情報通信研究機構、日本学術振興会、日本学術振興会、および科学技術政策研究所(NISTEP)からの有識者が集まり、議論の中で、研究者はデータ管理のような新しいスキルについてのトレーニングとサポートの両方を必要としていることが示唆されました。日本のオープンサイエンスを促進するためには、日本において分野に特化した事例と、データの管理・共有および再利用の利点を表す説得力のあるお手本が必要であることが提言されました。

シュプリンガー・ネイチャーのデータ出版の責任者、イアン・ヒリナスキエヴィッチは、次のように述べています。「私たちが今回発表する最新の白書には、日本におけるオープンサイエンスの実践と推進に関する良いリーダーシップの例があることを示しています。しかし、研究コミュニティ全体における研究プロセスの標準的な部分として、データ共有の優れた実施例を確立するためには、資金提供機関、出版社、研究者、そして機関の間において、一層の努力と連携が必要です。」

今回の日本における研究者を対象とした調査は、2017年に実施された世界中の7,000人以上の研究者を対象としたデータ共有に関する調査に続くものです。合計で1,393の回答が日本の活動的な研究者から寄せられ、回答者は、すべての主要な研究分野および各キャリアステージを代表していました。今回の調査における完全なデータセットおよびシュプリンガー・ネイチャーが今年の4月に発表した「Five Essential Factors for Data Sharing (5つの重要なデータ共有要素)」は、Figshareで公開されています。

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