【プレスリリース】シュプリンガーネイチャーの最新の転換契約により、東アジア全体におけるオープンアクセスの機運が高まる
シュプリンガーネイチャーは、韓国科学技術院(KAIST)と韓国では当社初となる転換契約に合意し、オープンアクセスの取り組みをさらに拡大させます。これは、KAISTが出版社と締結する初の転換契約になります。
ベルリン|ロンドン|ニューヨーク 2023年11月8日
シュプリンガーネイチャーは、韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology;KAIST)と韓国初の転換契約(Transformative Agreement; TA)に合意しました。今回の契約を通じ、KAISTに所属する11,000人以上の研究者は、オープンアクセス(Open Access;OA)出版を無料で行うためのサポートを得ることになり、自身の研究がより広範囲に利用されるというOAのメリットを享受することができます。
今回の転換契約は、当社が韓国において締結する初の転換契約となります。また、KAISTにとっても、出版社と締結する初の転換契約となります。これは、当社がアジア地域や米国で最近締結した転換契約と同様に、OAの需要や機運、また、インパクトの高まりが、欧州以外にも広がっていることを引き続き示唆するものです。
シュプリンガーネイチャーのChief Commercial Officerである、Carolyn Honour(キャロリン・オナー)は、次のようにコメントしています。
「転換契約は、個々のお客様のニーズに合わせて特別に設計される契約です。現在、当社では転換契約を通じ、6大陸に渡る3,500以上の研究機関に所属する研究者をサポートすることで、転換契約が大規模なOAの成長と移行を実現するのに最も効率的で持続可能な方法であることを証明し続けています。KAISTは、OAの価値と影響力を積極的に推進するという点で当社と共通の目標を掲げており、今回の転換契約にいたったことを大変うれしく思っています。当社は、引き続き全世界においてOAを推進し、学術面での共同研究、さらには、研究の発見可能性や有用性を高める取り組みを引き続きサポートすることで、すべての研究者がOAによるメリットを享受できるように努めてまいります」
KAISTに所属する研究者は、2024年から始まる3年間の転換契約において、2,000誌以上のシュプリンガーネイチャーのハイブリッドジャーナルにアクセスし、OA論文を出版することが可能になります。
同大学初の転換契約に際して、KAIST Academic and Cultural CenterのDirectorであるMinsoo Kim氏は、次のように述べています。
「先日、KAISTが研究者を対象として実施した調査から、90%以上の研究者がOA出版を可能とする環境を求めていることが明らかになりました。そこで、KAISTでは、今回の移行をサポートするパートナーを探してきました。このたび、シュプリンガーネイチャーをパートナーとして迎えることができたことを嬉しく思います。今回の転換契約は、韓国内の大学としては初の転換契約であり、それにより購読料をOA論文掲載料に転換することができるようになります。すなわち、全世界の誰もが私たちの研究に、支障なく無制限にアクセスできるようになるのです。今回の契約は、優れた研究成果を幅広い層と共有する素晴らしい機会となります」
シュプリンガーネイチャーのOAおよびオープンリサーチに関する取り組みについては、OAファクトシートおよびオープンリサーチ、また、OAポートフォリオのインパクトについては、最新のOAレポートをご覧ください。
また、当社の出版に関する取り組みについては、シュプリンガーネイチャーと出版する価値のページをご覧ください。
- 転換契約:一般的には、論文の閲覧のために大学などが出版社に対して支払う費用を、論文出版のための費用(論文掲載料、APC;Article Processing Charge)へと段階的に転換させ、それによって論文のオープンアクセス出版の拡大を目指す契約のことを指す。
- オープンアクセス(OA;Open Access):研究成果が出版時に無料でアクセスすることを可能にするための一連の原則と実践方法。OAは、ジャーナルに掲載された論文や書籍などの研究成果をオンラインで無料で即時利用できるようにし、デジタル環境でフルに利用する権利を提供します。
- ハイブリッドジャーナル:購読型ジャーナルのうち、受理された論文をゴールドオープンアクセスで出版するオプションを著者に提供するジャーナル。オープンアクセスで出版する場合には、APCが発生します。
- ゴールドオープンアクセス(ゴールドOA):出版社のプラットフォームにおいて、論文や書籍をゴールドオープンアクセスで出版するルートです。原稿編集(コピーエディティング)や組版後の最終公開版(VOR;Version of Record)。ゴールドOAで出版された論文は、掲載後ただちにオープンアクセスとなり、プラットフォーム上にて無料で閲覧可能となります。ゴールドOAでは、原稿編集(コピーエディティング)や組版後の最終公開版(VOR;Version of Record)にアクセスできるようになります。ゴールドOAの出版は、論文掲載料(APC;Article Processing Charge)や転換契約によって賄われています。
- 論文掲載料(APC;Article Processing Charge):オープンアクセス(OA)の論文に対するAPCは、査読からコピー編集、専用サーバーでの最終論文のホスティングまで、出版プロセスのすべての段階においてさまざまなサービスをカバーしています。これに加えて、こちらの料金により、論文がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもと、オープンアクセスで公開され、すべての読者がすぐに利用できるようになります。
出版にはコストがかかります。購読ジャーナルは、コンテンツにアクセスするための料金の徴収によって出版費用がカバーされています。ゴールドオープンアクセスのコンテンツは、自由に利用できるため、費用は論文掲載料(APC)によって賄われます。APCは、論文が受理されてから出版されるまでの間に支払われ、それぞれの出版社、ジャーナル、分野によってAPCが異なります。また、掲載料や出版料を学会などのスポンサーが負担することで、APCを徴収しないジャーナルもあります。APCには、論文全文への永続的、即時的かつ世界中からのアクセスの提供に加えて、下記が含まれます。- 編集作業:査読、管理サポート、コンテンツの委託、ジャーナルの開発。
- 技術的なインフラストラクチャーとイノベーション:オンラインジャーナルシステムやウェブサイトの開発、メンテナンス、運用。
- 論文の制作:論文のフォーマット、マークアップ(タグ付け)、インデックスサービスへの登録。
KAISTは、大田(韓国)の大徳研究開発特区に位置する国立研究大学です。KAISTは、韓国初の研究指向型国立科学技術研究機関として、1971年に韓国政府により設立されました。詳細につきましては、https://www.kaist.ac.kr/en/をご覧ください。
シュプリンガーネイチャーは、180年以上にわたり、研究コミュニティー全体へ最良のサービスを提供することによって発見の進展に貢献してきました。研究者が新しいアイデアを公開することを支援するとともに、出版するすべての研究が重要で着実であり、客観的な精査にも耐え、関心をもつすべての読者にもっとも良いフォーマットで届き、発見、アクセス、使用、再利用、および共有されるようにします。私たちは、テクノロジーやデータの革新を通じて図書館員や研究機関をサポートし、学会に出版を支援するための優良なサービスを提供します。
学術出版社として、シュプリンガーネイチャーは、シュプリンガー(Springer)、ネイチャーポートフォリオ(Nature Portfolio)、BMC、パルグレイブ・マクミラン(Palgrave Macmillan)、サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)などの信頼されたブランドを有しています。
詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。
宮﨑 亜矢子
シュプリンガーネイチャー
コーポレート・アフェアーズ
E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com
※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。
英語プレスリリース:Latest TA from Springer Nature sees Open Access momentum build across East Asia