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[プレスリリース] 日本は研究成果の減少に歯止め、世界的な連携を通じて科学大国5カ国は世界のリーダーとしての地位を固める

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Nature Indexの上位5カ国は、最大規模の予算、世界有数の施設および優れた科学技術の長い歴史を有し、世界の研究システムの要となっています。

東京 2022年3月15日

2022年3月9日にNature に掲載された特別冊子「Nature Index 2022 Big 5 science nations(科学大国5カ国)」によると、Nature IndexにおけるShare(論文に対する各共著者の相対的貢献度)の上位5カ国(アメリカ、中国、ドイツ、イギリス、日本)は、2015年から変わっていないことがわかりました。この5カ国を合わせると、2015年から2021年まで、Nature Indexにおける全体のShareの69.4%を占めています*。

Nature Indexによると、Big 5(上位5カ国)の順位は一貫していますが、中国は研究成果が大幅に増加しており、2015年から2021年にかけて、Adjusted Share(調整後のShare)**が81%も変化しています。これは、物理科学と化学における中国の成長を反映しており、2021年には、物理科学分野で初めて中国が米国を追い抜き、世界シェア24%を達成し、米国は23.8%となりました。

Nature Indexにおいて、中国と米国の機関が上位を占めており、上位50機関のうち42が中国と米国のいずれかの国で、それぞれ16と26機関を占めています。また、上位100機関のうち、7つ(東京大学、京都大学、大阪大学、東北大学、理化学研究所、名古屋大学、東京工業大学)が日本の機関です。米国は、引き続き生命科学分野を支配しており、グローバルShareの44%を占め、分野別Shareでは全体の48.5%を占めています。今回の特別冊子では、各主要5カ国の中で最もShareを伸ばした機関を紹介しており、日本においては、沖縄科学技術大学院大学(OIST)が選ばれています。

Big 5 Indexについて、Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks(デイヴィッド・スウィンバンクス)は、次のように述べています。

「今回の特別冊子では、自然科学の分野において、米国、中国、ドイツ、英国および日本、それぞれの国において実施されている顕著な研究の取り組みをご覧いただくことができます」

「本冊子は、各国の専門分野の強みを浮き彫りにしており、世界の科学の最先端において、より良い変化をもたらしている機関や人々、そして連携やそのほかの手段を通じて、その成功を共有し、広めるために行っていることに焦点を当てています」

「それぞれの研究機関は、研究部門における弾力性、適応性および革新性を示し続けており、科学における大きな進展を見せています。今回の冊子の特集が示すとおり、研究機関による研究成果の発表が減速していないことは明らかであり、特に中国の化学の研究成果が伸びていることによって裏づけられています。日本の研究成果の減少は歯止めがかかっているように見受けられ、実際、2020年にはわずかに増加に転じています」

Nature IndexのCollaboration Score(CS;機関同士の連携の指標)にもとづくグローバルな共同研究の分析では、ドイツ、米国と英国は、日本よりもフランスとの共同研究が多いものの、最も強い連携関係は、Big 5のグループ内であることを示しています。また、主要5カ国それぞれの上位3つの国際連携(国際機関との組み合わせ)を測る分析により、日本においては、上位の組み合わせはすべて東京大学との連携であることを示し、マックス・プランク協会(ドイツ)、フランス国立科学研究センター(フランス)および中国科学院(中国)と強い連携があることを示しています。

今回の特別冊子では、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が主導する国際海洋発見プログラム、ならびに東京大学を拠点とするハイパーカミオカンデを用いた日本の素粒子物理学実験「T2Kコラボレーション」など、日本の国際連携プロジェクトも取り上げています。また、日本の国際的な研究協力の強化や、権威のある研究機関への重点的な資金助成が、日本の研究成果の減少を食い止める重要な要因になる可能性を示唆しています。日本のAdjusted Shareは、2015-2021年に19.1%減少しており、この減少幅はNature Indexの上位5カ国の中で最大でありましたが、2019年以降、減少幅が鈍化しています。

さらに、Nature Indexの上位5カ国を拠点とする研究者5人を特集しており、日本からは、東京工業大学の星野歩子氏(分子生物学者)を取り上げています。星野氏は、エクソソーム(人体のほぼすべての種類の細胞から分泌される微小な小胞)を研究しており、2020年には、女性科学者の研究を促進するために2019年に科学技術振興機構(JST)が創設した「輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)」を受賞しています。

編集者への注記:

Nature Index Big 5の全コンテンツは、Nature Indexのウェブサイトでご覧いただけます。米国、中国、ドイツ、英国、日本の主要100機関のリストも掲載されています。

**Nature Indexの主要指標であるShareは、Nature Index掲載雑誌の論文総数のわずかな年間変動を考慮して調整されています。

Collaboration Score(CS)は、2021年*の共同論文における各機関のパートナーのShareを加算して算出しています。

 * 2021年のデータは、2020年10月~2021年9月の期間を表しています。

Nature Indexについて

2014年11月に初公開されたNature Indexは、所属する著者および機関の関係を示すデータベースです。Nature Indexは、独立した研究者グループによって選ばれた、82の質の高い自然科学ジャーナルに掲載された研究論文への貢献度を追跡します。これらのジャーナルは、自然科学における主要な研究者58名の委員会によって選出されました。委員会は、自身の優れた研究成果を最も発表したいジャーナルを推薦しています。この選出基準は、世界中の6000人を超える科学者の調査によって検証されました。Nature Indexの82のジャーナルは、Web of Science(クラリベイト・アナリティクス社)の自然科学を網羅するジャーナルの4〜5%を占め、自然科学ジャーナルへの総引用の30%近くを占めています。詳細は、Nature Indexのジャーナルリストをご覧ください。Nature IndexのAnnual Tablesは、2016年より、毎年一回発表しています。

Nature Indexは、機関レベルおよび国・地域レベルでの発表論文の絶対数および割合数を提供します。そのため、質の高い研究成果および共同研究のグローバルな指標となります。Nature Indexのデータは定期的に更新され、直近12か月のデータは、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにもとづいて利用可能になります。データベースは、ネイチャー・ポートフォリオによって管理されています。詳細につきましては、Nature IndexのFAQをご覧ください。

Nature Indexでは、研究成果発表数の指標として以下の種類のカウント法を採用しています:

  • Count(カウント)– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(Countを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてCountとして数えられることを意味します。
  • Share(シェア)– Shareは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大Shareは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のShareを割り振られることになります。(Nature Indexは、国、地域、または機関による論文への貢献を収集し、それらが2回以上カウントされないようにするために、Shareを使用します。機関のShareの合計は、個々の所属著者のShareを合計して計算されます。この計算法は、国と地域で同じですが、一部の機関は海外に研究拠点があり、ホスト国・地域の合計にカウントされるため、複雑になっています。)
  • Collaboration score (CS) – 2つの機関や国同士の共同研究を双方向のコラボレーション・スコアとしています。これは、両機関・国の論文毎のShareを合計した数値です。一機関の共同研究力は、コラボレーション・スコアの平均値で測ります。これは、ある機関が共同研究している全機関とのコラボレーション・スコアの平均ということになります。例えば、機関Aが機関BとCと共同研究をしている場合、機関Aのコラボレーション・スコアはA+BとA+Cの平均値です。

ネイチャー・ポートフォリオについて

ネイチャー・ポートフォリオは、生命科学・物理学・化学・応用科学など多岐にわたる分野で高品質のジャーナル、オンラインデータベース、研究者を対象としたサービスなど、科学界への貢献を目的としたサービスから成るポートフォリオを提供しています。

1869年創刊のNature は、世界有数の週刊の国際科学雑誌です。さらに、ネイチャー・ポートフォリオは、Nature リサーチ誌とNatureレビュー誌をはじめ、オープンアクセスの主要な学際的ジャーナルであるNature Communications、Scientific Reports など、研究機関と学会の協力によるNature Partner Journalsも出版しています。これらのジャーナルには、世界で最も重要な科学的発見が掲載されています。

オンラインのnature.comには、1カ月当たり900万人を超えるユーザーが訪れ、Nature のニュース記事やコメント記事、そしてNature Careersなどの科学求人サイトにアクセスしています。また、ネイチャー・ポートフォリオは、オンラインおよび対面によるトレーニングや専門家による英文校正サービスなど、さまざまな研究者支援サービスも提供しています。

詳しい情報については、nature.comをご覧いただき、@NaturePortfolioのフォローをお願いいたします。ネイチャー・ポートフォリオは、シュプリンガー・ネイチャーの一部です。

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詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子

シュプリンガー・ネイチャー

コーポレート・アフェアーズ

Tel: +81 (0)3 4533 8204

E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

英語プレスリリース:Japan slows decline in research output as global collaboration helps Big 5 science superpowers consolidate positions as world leaders

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