[プレスリリース] ボノボとチンパンジーから学べることとは?
人間に最も近い類人猿であるボノボとチンパンジーから、私たちは何を、なぜ学ぶべきなのか。日本の霊長類学の第一人者が、ボノボとチンパンジーの行動観察を通してその答えを解説します。
ハイデルベルク | ニューヨーク | 東京 2019年12月9日
詳しい知識がなければ、ボノボとチンパンジーを区別するのは難しいかもしれません。外見も生息場所も非常によく似ています。専門家の間でさえ、90年前まで両者は異なる種であるとは認識されていませんでした。古市剛史氏の著書『Bonobo and Chimpanzee(ボノボとチンパンジー)』 では、ボノボとチンパンジーの行動観察を通じて、人間、ボノボ、チンパンジーの行動の関連性を考察し、人類が平和的に共存するための方法を見出そうとしています。
霊長類学者の古市氏は、野生で暮らすボノボとチンパンジーの両方を対象に30年以上研究を続けている数少ない学者のひとりです。『Bonobo and Chimpanzee(ボノボとチンパンジー)』 は全5章で構成され、ボノボの典型的な一日の過ごし方、ボノボの性のメカニズム、チンパンジーのオスたちの競合、ボノボとチンパンジーそれぞれの集団間抗争を取り上げ、両者の行動の違いをさまざまな視点から詳しく解説しています。さらに、ボノボの群れの近くで暮らすコンゴ民主共和国の人々の社会の様子についても触れています。また、全体を通して人間の行動分析についても論じ、現代の人類の生き方について、またその生き方が将来の人類と地球に何をもたらすだろうかと問いかけています。
古市氏によると、ボノボの平均的な「労働時間(食べ物を探したり、寝るためのベッドを作ったりする時間)」は1日3時間ほど。あとは眠ったり、休んだり、遊んだりして過ごします。先進国に住む現代人とはかけ離れた生活です。また、ボノボの群れの社会構造に見られるようなメス主導の社会では、争いよりも平和を重視する傾向が強くなることも示唆されています。
本書は、人類学、進化生物学、心理学などの知識がもとになっていますが、誰にでも分かりやすく、親しみやすい文章で書かれています。また、古市氏自身のエピソードもたくさん紹介されています。調査に基づく事実、学術的研究成果、古市氏の個人的体験などの多彩な情報に加え、60点以上の写真やイラストも盛り込まれ、動物の行動や、自然界における人間の役割に興味のある人なら誰でも楽しめるユニークな読み物になっています。この本全体を通じて古市氏は、根源的な疑問を提示しています。人間は果たして、自らが思っているほど賢明な生き物なのでしょうか?
著者について
古市剛史。京都大学霊長類研究所教授。35年以上にわたりコンゴ民主共和国でボノボ、ウガンダでチンパンジーを研究。中心的な研究分野はメスの性行動と生活史、および初期人類の進化プロセスで、人類の化石や狩猟採集民を専門とする他の研究者と共同研究も行っています。
著書について
Furuichi, Takeshi
Bonobo and Chimpanzee
2019, 147 p. 65 illus.
Softcover 29,99 € | £24.99 | $37.99 |
ISBN 978-981-13-8058-7
電子書籍(eBook)版も配信中:Bonobo and Chimpanzee
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※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。