[プレスリリース] 高品質な自然科学研究を生み出す機関や国・地域を示すNature Index Annual Tables
2020年のNature Index Annual Tablesでは、資金が豊富で評判の高い機関だけでなく、近年その評価が上昇している機関のパフォーマンスが高いことが明らかになりました。
ロンドン|ベルリン|シドニー 2020年4月29日
本日発表された今年のNature Index Annual Tables*で最も目を引くのは、予想通り、資金が豊富で評価の高い大規模機関でした。Nature Index Annual Tablesの上位を占めるのは、引き続き、中国科学院(CAS)、米国ハーバード大学、ドイツ・マックスプランク協会です。そうした中、中国科学技術大学(USTC)は、Share(調整後)**が25%以上増加して、これまでの年よりもはるかに高い順位となるなど、予想外の結果もありました。
今年のNature Index Annual Tablesには、通常の表に加え、近年その評価が上昇している機関を表したRising Stars Tableも含まれます。この表は、2015〜2019年の、高品質論文の発表における研究機関の成長度(Shareの増加度)に基づいています。この表からは、中国科学院大学(UCAS)のShare(調整後)が242%増加していることが見て取れます。これは、UCASの高品質な論文発表数が、わずか4年あまりで大幅に増加していることを示しています。この特別冊子には、この他にも、国・地域別の分野の強みなど、Nature Indexの詳細なデータ分析とインフォグラフィックが含まれています。
Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks(デイヴィッド・スウィンバンクス)は、次のように述べています。「Nature Index Annual Tablesでは、大規模で豊富な資金があり、評価の確立された機関が、自然科学分野の高品質な論文発表という成果を上げ続けていることが分かります。しかし、昔からある評価の確立された機関だけでなく、小規模な新興機関も迅速に、非常に優れた研究成果を上げていることが見受けられます。Annual Tablesは、自然科学分野における高品質な論文発表を示す優れた指標ですが、研究の質や機関のパフォーマンスを評価する際には、この結果を、データ、ソフトウエア、知的財産などのほかの科学的成果と合わせて使用することをお勧めします。」
* 今年のNature Index Annual Tablesは、2019年のデータを元に作成しています。
** データを経時的に比較する場合、Shareの数字は、Nature Indexジャーナルの総論文数の年間変動がわずかにあることを考慮して2019年のレベルに調整しています。
<Nature Index 2020:日本の研究力>
2020年のNature Index Annual Tablesによると、日本の研究力は、米国、中国、ドイツ、英国に続いて世界5位でした。2015年以降、1位から7位までの順位に変動はありません。首位は依然として米国ですが、中国がその差を詰めており、2015年以降のShare(調整後)が大幅に増加(64%増)しています。米国のShare(調整後)は、2015〜2019年の間に10%減少しました。
日本について見ると、日本が一番強い自然科学分野別は化学であり、物理科学、生命科学、地球環境科学がこれに続きます。
2020年の世界の研究機関ランキングでは、トップ50に、東京大学(2020年:11位、2019年:9位)および京都大学(2020年:37位、2019年:32位)がランクインしました。(なお、掲載されている順位は2020年4月29日時点のものです。Nature Indexのデータベースは、更新されておりますので、最新の順位につきましては、natureindex.comをご参照ください。)
中国科学技術大学(USTC)(2020年:8位、2019年:18位)は、前年よりもShare(調整後)が約26%上昇し、前回よりも大幅に順位を上げ、トップ10に入りました。また、USTCは、Rising Starsランキングにおいても中国科学院大学(UCAS)に次いで、2位となっています。なお、Rising Starsランキングは中国の独壇場で、上位44機関を中国の機関が占めています。
(2020年の研究機関ランキングは、2019年1月1日から2019年12月31日までのNature Indexデータに基づいて、Shareでランキングされた上位機関を示しています。ご参考までに、2019年の機関ランキングはこちらでご覧いただけます。)
分野別の Rising Stars の表や指標など、その他の記事については、natureindex.comをご覧ください。
注記: Nature Indexは、機関の研究パフォーマンスにおける1つの指標です。Nature Indexのリストを作成するために使用されるCountとShareの測定基準は、その分野の主要な科学者によって構成された独立したパネルによる評判に基づいて選択された、82の自然科学ジャーナルにおける機関または国・地域の論文出版の成果に基づいています。Nature Indexは、研究の質と機関のパフォーマンスを検討する際には、そのほかの多くの要素を考慮しなければならないことを認識しています。Nature Indexの指標のみを機関や個人の評価に使用することを推奨しておりません。Nature Indexのデータとメソッドは透明性があり、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて利用可能です。
テーブルおよび特別冊子につきましては、こちらをご覧ください。
2014年11月に初公開されたNature Indexは、所属する著者および機関の関係を示すデータベースです。Nature Indexは、独立した研究者グループによって選ばれた、82の質の高い自然科学ジャーナルに掲載された研究論文への貢献度を追跡します。これらのジャーナルは、自然科学における主要な研究者58名の委員会によって選出されました。委員会は、自身の優れた研究成果を最も発表したいジャーナルを推薦しています。この選出基準は、世界中の6000人を超える科学者の調査によって検証されました。Nature Indexの82のジャーナルは、Web of Science(クラリベイト・アナリティクス社)の自然科学を網羅するジャーナルの4〜5%を占め、自然科学ジャーナルへの総引用の30%近くを占めています。Nature Indexのジャーナルリストは、こちらに掲載しています。Nature IndexのAnnual Tablesは、2016年より、毎年一回発表しています。
Nature Indexは、機関レベルおよび国・地域レベルでの発表論文の絶対数および割合数を提供します。そのため、質の高い研究成果および共同研究のグローバルな指標となります。Nature Indexのデータは定期的に更新され、直近12か月のデータは、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて利用可能になります。 データベースは、シュプリンガー・ネイチャーによって管理されています。詳細につきましては、Nature IndexのFAQをご覧ください。
Nature Indexでは、研究成果発表数および連携の指標として以下の種類のカウント法を採用しています:
・Count(カウント)(以前の名称:Article count(AC))– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(Countを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてCountとして数えられることを意味します。
・Share(シェア)(以前の名称:Fractional count(FC))– Shareは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大Shareは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のShareを割り振られることになります。(Nature Indexは、国、地域、または機関による論文への貢献を収集し、それらが2回以上カウントされないようにするために、Shareを使用します。機関のShareの合計は、個々の所属著者のShareを合計して計算されます。この計算法は、国と地域で同じですが、一部の機関は海外に研究拠点があり、ホスト国・地域の合計にカウントされるため、複雑になっています。)
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詳しい情報については、nature.comをご覧いただき、@nresearchnewsのフォローをお願いいたします。ネイチャー・リサーチはシュプリンガー・ネイチャーの一部です。
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宮﨑 亜矢子
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※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。