[プレスリリース] シュプリンガー・ネイチャーの転換契約により、国家レベルでのオープンアクセスへの移行が実現
シュプリンガー・ネイチャーと各国との転換契約は、オープンアクセスへの移行を推進して、OA出版を行う著者を全体の70%超へと大幅に増加させるとともに、国家レベルでの「急速な転換」につながることが、最新データから明らかに
ロンドン|ベルリン 2020年8月25日
転換契約(TA;Transformative Agreement)*aは、国レベルでの完全なオープンアクセス(OA)環境への持続的かつ効率的な転換を可能にするうえで、影響力かつ推進力のあるものであり続けています。このたび、シュプリンガー・ネイチャーが発表した、国家レベルでのTA締結がもたらすOA出版の増加に関する最新データから、当社とTAを締結した国はいずれも、完全OAへの急速な転換が可能であることが明らかになりました。
TAのもとでは、購読型アクセスとOA出版が、機関コンソーシアム全体で、1つの購読・出版契約にまとめられます。すなわち、当該コンソーシアムの参加機関の研究者は、「ゴールド」オープンアクセス*b・モデルに基づいて出版ができるのと同時に、購読型ジャーナルの論文にもアクセスできることになります。シュプリンガー・ネイチャーは、他出版社に先駆けて、2014年[1]にオランダ大学協会(Association of Dutch Universities:VSNU)とTAを初めて締結しました。この種の契約により、参加機関にとっても、所属研究者にとっても、OAの運営管理が容易になりました。さらに、これらの契約により、より広範な研究者たちが、研究の発見性の向上、引用回数の増加、OAコンテンツの利用増加といったメリットを受けることができ、OA資金が不足しているという問題を抱える一部の研究領域では、その解決にもつながります論文掲載料(APC;Article Processing Charge)の一元管理により、参加機関に属する研究者ならどなたでも、学術分野に関係なくOA出版が可能となります。TAはまた、研究者に対して、資金提供者のOA要件を遵守するための簡単な方法を提供します。
シュプリンガー・ネイチャーは、一次研究に関する最大手のOA出版社として、研究領域に関係なく、すべての論文著者のために、OAへの持続可能な移行を推進し続けています。当社は、現在、11カ国とTAを締結しており、その数は出版社の中で最大です。最近のデータによると、2019年時点で有効なTAを締結している8カ国では、コンテンツの70~90%[2]がゴールドOAによって出版されました(本データは、シュプリンガー・ネイチャーの全ポートフォリオを対象としているため、完全OAコンテンツも含む)。例えば、スウェーデン、フィンランド、ポーランドでは、TAの導入以降、シュプリンガー・ネイチャーのコンテンツのそれぞれ89%、90%、86%がゴールドOAによって出版されています[2]。こうしたOAの増加は、TAが締結されている国ではOA出版の利用に大きな影響が及んでいて、著者個人の判断でOA出版を利用する場合に比べて、転換がはるかに急速に進んでいることを示しています。そして、これにより、国は、シュプリンガー・ネイチャーから出版する著者のために、ほぼ完全なOA環境を実現させることができたのです。
今回のデータに関して、VP Open AccessのCarrie Webster(キャリー・ウェブスター)は、次のように述べています。
「2014年に初めてこうした契約を締結した際、それがOAの推進に与えた影響はすぐに明らかになりました。現在では、さらに多くの国とTAを結んでおり、これらの国々では論文著者の70~90%が、シュプリンガー・ネイチャーのポートフォリオ全体にわたってゴールドOAで出版しています。このことから、当社のTAが、国家レベルでの完全OAへの持続的移行ならびに「急速な転換」を可能にする上で有用なのは明らかです。加えて、OAは購読型ジャーナルへの出版の場合よりも多く引用されることが分かっており、TAを締結している国は研究を公開しているだけでなく、これらの国の論文著者が自身のコンテンツがより多く読まれ、利用されているという恩恵を受けています。TAはすべての国に共通のものではなく、それぞれの国によって複雑な問題を抱えていますが、TA導入の方向性は明確であり、完全OA環境への持続的な道筋をもたらすものだと考えています」
シュプリンガー・ネイチャーは、2014年に初めてのTAを締結してから今日まで、欧州とアジアにおいて11件の国家レベルの契約[3]を締結しており、その中には、論文出版数が最大のProjekt DEALとのOA契約も含まれています。シュプリンガー・ネイチャーは、世界で最も総合的なOAポートフォリオを有しており、2019年にゴールドOAによって出版された論文数は10万本を超えます。これは、シュプリンガー・ネイチャーが出版した全出版物の30%に相当します。シュプリンガー・ネイチャーは、今後も、新刊ジャーナル・書籍を通じて、また、転換ジャーナルの発刊と導入によって、OAへの道を推進していきます。また、OAに関する議論の中で積極的な姿勢を維持しつつ、研究コミュニティーに貢献するうえで、今後も研究のオープン化とオープンサイエンスの発展を最優先に推進していきます。
OAと研究活動に対する当社の取り組みの詳細はこちらをご覧ください。
[1] VSNUとの転換契約は、2014年に署名および発表され、2015年に開始し、2017年に更新された。
[2] これらのデータは、シュプリンガー・ネイチャーの全研究・総説論文を対象として、各国の最初の責任著者に関して集計している。パーセンテージには、シュプリンガー・ネイチャーのポートフォリオ全体(購読、完全OA、ハイブリッド、また当該国のTA参加機関に属さない著者の論文)を含めている。
[3] 現在、シュプリンガー・ネイチャーは、オランダ、英国、オーストリア、スウェーデン、フィンランド、ハンガリー、ポーランド、ノルウェー、カタール、ドイツ、スイスの11カ国とTAを締結している。前述のデータは、2019年時点で有効なTAを締結していた8カ国に関する、丸一年間に相当する保有データである。ドイツ、ノルウェー、スイスとの契約は、2020年に発効したため、上記データには含まれていない。
*a 転換契約:購読およびハイブリッド型からオープンアクセスで出版するモデルへ転換するために、出版社と図書館や大学コンソーシアムなどの間で結ばれる契約。
*b ゴールドOA:出版社のプラットフォームにおいて、オープンアクセスで出版するルートで、出版にはAPCが発生する。ゴールドOAで出版された論文は、掲載後直ちにオープンアクセスとなり、プラットフォーム上にて無料で閲覧可能となる。
シュプリンガー・ネイチャーは、175年以上にわたり、研究コミュニティ全体へ最良のサービスを提供することによって発見の進展に貢献してきました。研究者が新しいアイデアを公開することを支援するとともに、公開するすべての研究が重要で着実であり、客観的な精査にも耐え、関心を持つすべての読者にもっとも良いフォーマットで届き、発見、アクセス、使用、再利用、および共有されるようにします。私たちは、テクノロジーやデータの革新を通じて図書館員や研究機関をサポートし、学会に出版を支援するための優良サービスを提供します。
学術出版社として、シュプリンガー・ネイチャーは、シュプリンガー、ネイチャー・リサーチ、BMC、Palgrave Macmillan、Scientific Americanなどの信頼されたブランドを有しています。詳しい情報は、springernature.com/group をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。
宮﨑 亜矢子
シュプリンガー・ネイチャー
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※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。