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[プレスリリース] 特別冊子「Nature Index Artificial Intelligence」の一部として、機械生成した論文要約3本を初めて公開

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特別冊子Nature Index Artificial Intelligenceでは、AIを活用したキュレーション実験の結果を掲載するとともに、AIの研究成果に関する新たな動向を調査しています。

ロンドン|シドニー|ベルリン 2020年12月9日

計算能力の向上、データセットの増大、そしてアルゴリズムのかつてない高度化により、近年、Artificial Intelligence(AI;人工知能)に言及した学術論文や会議論文が大幅に増加しています。本日発表された特別冊子「Nature Index Artificial Intelligence」では、急速に進歩していて論争の的になっているこのAIというトピックに関して、Nature Indexのデータと、Digital ScienceのデータベースであるDimensions*に基づいて分析しています。初めての試みとして、Nature Index AIでは、AIを使って生成された研究論文の要約を掲載しており、また、学術出版においてAIがどのように使われているかについて、より広く考察しています。

特別冊子Nature Index AIでは、ディープフェイクの検出、創薬、顔認識におけるバイアスの認識など、AIの新たな応用を調査しています。また、AIを活用して天文学、教育、医療研究の進歩を支える人々の洞察を、6人の研究者のプロフィールを通じて紹介しています。その中の1人が、AI研究の第一人者の1人であり、現在、日本ディープラーニング協会の理事長を務める、東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター 教授の松尾 豊(まつお・ゆたか)氏です。松尾氏は、2010年に、地震の揺れに関するTwitterのつぶやき(メンション)をモニタリングすることで地震の発生を検知するアルゴリズムを開発しました。このアルゴリズムによって、日本の気象庁に記録された地震の96%を検出することができました。

Nature Indexが追跡している高品質な自然科学ジャーナルにAI関連の論文を最も多く出版している機関を調べたところ、上位3機関は、米国のハーバード大学、スタンフォード大学およびマサチューセッツ工科大学(MIT)であることが分かりました。一方で、AIの技術開発といったより広範な分野を網羅するDigital ScienceのデータベースDimensionsでは中国の機関が上位を占めていて、第1位は清華大学でした。Nature Indexのデータを国別に見ると、ランキング上位はAI研究の実績の高い米国、英国、ドイツで、その直後に中国が位置していますが、Dimensionsのデータでは、中国がリードしているという結果となりました。本特別冊子では、Nature Indexのデータにもとづき、AI関連論文に関して最も強力で生産性の高い共同研究の概要をインフォグラフィックで示しています。

また、本特別冊子では、Nature Indexが追跡している自然科学ジャーナルのAI関連論文における共同研究についてデータ分析を行っており、この分析から各国の強みが明らかになりました。掲載されているグラフでは、2015〜2019年のNature Indexのデータをもとに、146機関のうち上位200の共同研究が示されています。なお、日本の自然科学分野におけるAI研究のトップ機関は東京大学で、理化学研究所、大阪大学がこれに続きます。共同研究に関するデータから、日本は、国際的な協力よりも、国内の共同研究が強い国であるという特徴があることがわかりました。

Nature Index AIでは、AIを科学出版という文脈でどのように応用できるかについても考察しています。例えば、構造化されたデータセットからテキストを作成したり、論文を要約したり、読者が関連する論文をより簡単に見つけられるようにしたり、ジャーナルから掲載を却下(リジェクト)された論文の代わりの掲載先候補を特定したりするAI活用法などを紹介しています。さらに、本特別冊子では、AIで論文の要約を自動生成するという試みを行いました。掲載されている要約は、シュプリンガー・ネイチャーで出版された研究論文を、さまざまなAIを使って生成したものです。

Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks(デイヴィッド・スウィンバンクス)は、次のように述べています。

「最も急速に進歩し、論争の的になっている研究テーマの1つであるAIは、私たちの生活における多くの側面に関係しています。特別冊子Nature Index AIは、研究における主要な動向と応用について概説しています。Nature Indexが追跡している自然科学研究におけるAI研究では、欧米の機関が上位を占めている一方、より広範なAI領域をカバーするデータベースDimensionsにおける応用研究では、中国が優勢であることが明らかになりました。AI研究の成果が増え続けるなか、この特別冊子によって、AI研究の進歩の一部だけでなく、今後の倫理的および技術的な課題に関しても注目が集まることを期待しています。特に注目すべきは、科学出版業界におけるAIの使われ方です。研究者がAIの力を使ってコンテンツを見つけ、それを消化する方法については改善する余地がたくさんあるのです」

本特別冊子には、2015〜2019年のAI分野における論文シェア(Share)ランキング上位50機関および上位25カ国・地域のランキング表が掲載されています。日本からは、東京大学がトップ50の機関にランクインしています。また、国別に見ると、日本は、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、フランス、カナダ、スイスに続き、第8位でした。

注記:Nature Indexは、機関の研究パフォーマンスにおける1つの指標です。Nature Indexのリストを作成するために使用されるCountとShareの測定基準は、その分野の主要な科学者によって構成された独立したパネルによる評判に基づいて選択された、82の自然科学ジャーナルにおける機関または国・地域の論文出版の成果に基づいています。Nature Indexは、研究の質と機関のパフォーマンスを検討する際には、そのほかの多くの要素を考慮しなければならないことを認識しています。Nature Indexの指標のみを機関や個人の評価に使用することを推奨しておりません。Nature Indexのデータとメソッドは透明性があり、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて利用可能です。

*Dimensionsは、発見と研究へのアクセスを再定義する、現代的で革新的な、リンク付けされた研究情報システムです。世界中の100以上の主要な研究機関と共同でDigital Scienceによって開発されたDimensionsは、助成金、出版物、引用、代替のメトリクス、臨床試験、特許、データセットをまとめて提供しています。また、ユーザーが最も関連性の高い情報を迅速に見つけてアクセスし、研究の学術的および広範な成果を分析し、将来の戦略を立てるための洞察を収集することを可能にするプラットフォームを提供しています。詳細については、Dimensionsのウェブサイトhttps://dimensions.ai およびTwitter @DSDimensionsをご覧ください。

追加情報

テーブルおよび特別冊子につきましては、こちらをご覧ください

Nature Indexについて

2014年11月に初公開されたNature Indexは、所属する著者および機関の関係を示すデータベースです。Nature Indexは、独立した研究者グループによって選ばれた、82の質の高い自然科学ジャーナルに掲載された研究論文への貢献度を追跡します。これらのジャーナルは、自然科学における主要な研究者58名の委員会によって選出されました。委員会は、自身の優れた研究成果を最も発表したいジャーナルを推薦しています。この選出基準は、世界中の6000人を超える科学者の調査によって検証されました。Nature Indexの82のジャーナルは、Web of Science(クラリベイト・アナリティクス社)の自然科学を網羅するジャーナルの4〜5%を占め、自然科学ジャーナルへの総引用の30%近くを占めています。Nature Indexのジャーナルリストは、こちらに掲載しています。Nature IndexのAnnual Tablesは、2016年より、毎年一回発表しています。

Nature Indexは、機関レベルおよび国・地域レベルでの発表論文の絶対数および割合数を提供します。そのため、質の高い研究成果および共同研究のグローバルな指標となります。Nature Indexのデータは定期的に更新され、直近12か月のデータは、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて利用可能になります。 データベースは、シュプリンガー・ネイチャーによって管理されています。詳細につきましては、Nature IndexのFAQをご覧ください。

Nature Indexでは、研究成果発表数および連携の指標として以下の種類のカウント法を採用しています:

・Count(カウント)(以前の名称:Article count(AC))– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(Countを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてCountとして数えられることを意味します。

・Share(シェア)(以前の名称:Fractional count(FC))– Shareは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大Shareは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のShareを割り振られることになります。(Nature Indexは、国、地域、または機関による論文への貢献を収集し、それらが2回以上カウントされないようにするために、Shareを使用します。機関のShareの合計は、個々の所属著者のShareを合計して計算されます。この計算法は、国と地域で同じですが、一部の機関は海外に研究拠点があり、ホスト国・地域の合計にカウントされるため、複雑になっています。)

ネイチャー・リサーチについて

ネイチャー・リサーチは、生命科学・物理学・化学・応用科学など多岐にわたる分野で高品質のジャーナル、オンラインデータベース、研究者を対象としたサービスなど、科学界への貢献を目的としたサービスから成るポートフォリオを提供しています。

1869年創刊のNature は、世界有数の週刊の国際科学雑誌です。さらに、ネイチャー・リサーチ、定期購読用のさまざまなNature ブランドのジャーナルをはじめ、さらには、オープンアクセスの主要な学際的ジャーナルであるNature Communications 、Scientific Reports などのオープンアクセスジャーナル、研究機関と学会の協力によるNature Partner Journalsも出版しています。

オンラインのnature.comには、1カ月当たり900万人を超えるユーザーが訪れ、Nature のニュース記事やコメント記事、そしてNature Careersなどの科学求人サイトにアクセスしています。また、ネイチャー・リサーチは、オンラインおよび対面によるトレーニングや専門家による英文校正サービスなど、さまざまな研究者支援サービスも提供しています。

詳しい情報については、nature.comをご覧いただき、@nresearchnewsのフォローをお願いいたします。ネイチャー・リサーチはシュプリンガー・ネイチャーの一部です。

シュプリンガー・ネイチャーについて

シュプリンガー・ネイチャーは、175年以上にわたり、研究コミュニティー全体へ最良のサービスを提供することによって発見の進展に貢献してきました。研究者が新しいアイデアを公開することを支援するとともに、公開するすべての研究が重要で着実であり、客観的な精査にも耐え、関心を持つすべての読者にもっとも良いフォーマットで届き、発見、アクセス、使用、再利用、および共有されるようにします。私たちは、テクノロジーやデータの革新を通じて図書館員や研究機関をサポートし、学会に出版を支援するための優良サービスを提供します。

学術出版社として、シュプリンガー・ネイチャーは、シュプリンガー、ネイチャー・リサーチ、BMC、Palgrave Macmillan、Scientific Americanなどの信頼されたブランドを有しています。詳しい情報は、group.springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

Digital Scienceについて

Digital Scienceは、研究をより効率的にするために活動するテクノロジー企業です。当社は、研究プロセスのすべての部分をよりオープンで効果的なものにする革新的なビジネスと技術に投資し、育成し、サポートしています。当社のポートフォリオには、Altmetric、CC Technology、Dimensions、Figshare、Gigantum、ReadCube、Symplectic、IFI Claims、GRID、Overleaf、Ripeta、Writefullなどの賞賛されるブランドが含まれています。私たちは、共に研究者が変化を起こすのを支援できると信じています。詳細は、www.digital-science.com をご覧いただき、Twitter で @digitalsci をフォローしてください。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子

シュプリンガー・ネイチャー

コミュニケーションズ

Tel: +81 (0)3 4533 8204

E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

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