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[プレスリリース] 最新のNature Indexの特別冊子では、アジア太平洋地域の共同研究の傾向を分析

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アジア太平洋地域で関心の高い研究分野は、持続可能性、気候変動、生物医学であることが明らかに

ロンドン|ベルリン|シドニー|東京 2021年3月17日

アジア太平洋地域の共同研究において、中国の存在感がますます高まっています。これは本日公開された特別冊子「Nature Index 2021 Asia Pacific」で明らかになったものです。この特別冊子は、Nature Indexのデータを基に、アジア太平洋地域(APAC)の研究成果や共同研究の傾向を追跡したものです。それによると、APAC内の連携で最も強いのは中国とオーストラリアの間ですが、APAC主要国の中でインドが中国との共同研究を最も急激に増加させており、両国間のCollaboration Score(コラボレーションスコア)*は、2015年比で261%増加していることが分かりました。APAC全体で見ると、米国、ドイツ、英国が重要度の高い共同研究パートナーであることは変わりませんが、その連携の規模、増加の速度は、中国との連携には及びません。米国と中国の共同研究は2015年から56%増加しており、この増加幅は、米国とAPAC内の他の主要国との連携よりも大きいものです。

研究成果に関しては、Nature Indexが追跡している世界の研究成果に占めるAPACからの成果の割合が、2015年の26.9%から34.3%に増加しており、この増加分の98%以上を占めるのが中国からの成果でした。中国からの成果を除外すると、APAC全体のシェアは、わずかながら減少していました。この一因が、2015~2020年の日本の研究成果の減少であり、その他の国からの研究成果は増加していました。研究成果の増加状況を示した「APAC Rising Countries」の一覧(オンラインで閲覧できます)によると、第1位の中国に続くのは、ベトナムが2位、タイが3位とでした。また、2020年のNature Indexによると、APACの研究機関トップ3は中国科学院、中国科学技術大学、東京大学でした。

「Nature Index 2021 Asia Pacific」では、研究成果や共同研究の傾向を明らかにしているほか、持続可能性や気候変動など、APACにとって重要な研究分野を探り、こうした分野において最も強い影響力を持つ研究機関の一覧を示しています。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを契機に、インドが国産のCOVID-19ワクチン開発を通じて自国の科学的な自給率をどのように高めたかについても分析しています。また、日本や韓国の研究者が開発した、材料の新規磁性や超電導性といったイノベーションについても紹介しています。

Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks(デイビッド・スウィンバンクス)は、次のように述べています。「APACからの研究成果の数は、世界のどの地域よりも急激に増加しており、この傾向には、中国が大きく貢献しています。最新のNature Indexの特別冊子ではまた、APACの地域内および地域間の連携が堅調かつ増加傾向にあることが示されました。中国とオーストラリアの連携が最も強いことは、現在の地政学的状況を考えると興味深い現象です。今後は、海面上昇といった地域の人々が直面する重要課題の解決するために、地域規模の共同研究が大きな役割を果たすことになるでしょう」

<Nature Index 2021 Asia Pacificで見る日本のデータ>

Shareに占めるAPAC各国の割合を見ると2015年の48.1%から2020年の63.2%に増加したことで、APACの他の主要国の割合は低下しています。Shareに占める割合の低下が特に顕著だったのは日本で、日本の割合は同時期に21.4%から14.3%に低下しました。また、このShareによると、最も多く研究成果を生み出した都市の上位10のうち、7つが中国のものでした。2018年には、上海が東京に代わって2位になり、同じ年に、南京がソウルに代わって4位となりました。

日本と各国のCollaboration Scoreを見ると、中国とのスコアが2015年から61%上昇し、米国(6.0%)、ドイツ(7.3%)、英国(3.5%)とのスコアの上昇率を大きく上回っています。

中国と日本の連携は増加し続けているものの、Nature Indexの分析では中国とオーストラリアの連携がこれを上回っています。日本と韓国の連携は、2015年には4位でしたが、上位6位の組み合わせの中では唯一、2015〜2019年にわずかに減少し、中国・台湾の連携に次ぐ6位となりました。

<Nature Index 2021 Asia Pacificが紹介する主なコンテンツ>

•    Nature Indexが追跡する高品質なジャーナルにおいて、APAC諸国が関与した共同研究のうち、最も強力で最も多くの成果を生んだ連携は?
•    日本と韓国の外交関係が緊張する中で、両国の研究者はどのように協力しているか?
•    Nature Indexが追跡するジャーナルに最も多くの論文が掲載されたのは、APACのどの研究機関か?

2021年3月17日現在、APACの上位50機関に入っている日本の機関(Shareのスコア順):
東京大学(3位)、京都大学(13位)、大阪大学(20位)、東北大学(28位)、理化学研究所(29位)、名古屋大学(33位)、東京工業大学(34位)、北海道大学(39位)、九州大学(47位)

注記:Nature Indexは、機関の研究パフォーマンスにおける1つの指標です。Nature Indexのリストを作成するために使用されるCountとShareの測定基準は、その分野の主要な科学者によって構成された独立したパネルによる評判に基づいて選択された、82の自然科学ジャーナルにおける機関または国・領土・地域の論文出版の成果に基づいています。Nature Indexは、研究の質と機関のパフォーマンスを検討する際には、そのほかの多くの要素を考慮しなければならないことを認識しています。Nature Indexの指標のみを機関や個人の評価に使用することを推奨しておりません。Nature Indexのデータとメソッドは透明性があり、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて利用可能です。

テーブルおよび特別冊子につきましては、Nature Index 2021 Asia Pacificをご覧ください。

*Collaboration score(コラボレーションスコア;CS) – CSは、各著者が貢献した論文における各自のShareの合計によって算出されています。

Nature Indexについて

2014年11月に初公開されたNature Indexは、所属する著者および機関の関係を示すデータベースです。Nature Indexは、独立した研究者グループによって選ばれた、82の質の高い自然科学ジャーナルに掲載された研究論文への貢献度を追跡します。これらのジャーナルは、自然科学における主要な研究者58名の委員会によって選出されました。委員会は、自身の優れた研究成果を最も発表したいジャーナルを推薦しています。この選出基準は、世界中の6000人を超える科学者の調査によって検証されました。Nature Indexの82のジャーナルは、Web of Science(クラリベイト・アナリティクス社)の自然科学を網羅するジャーナルの4〜5%を占め、自然科学ジャーナルへの総引用の30%近くを占めています。Nature Indexのジャーナルリストは、こちらに掲載しています。Nature IndexのAnnual Tablesは、2016年より、毎年一回発表しています。

Nature Indexは、機関レベルおよび国・領土・地域レベルでの発表論文の絶対数および割合数を提供します。そのため、質の高い研究成果および共同研究のグローバルな指標となります。Nature Indexのデータは定期的に更新され、直近12か月のデータは、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて利用可能になります。 データベースは、シュプリンガー・ネイチャーによって管理されています。詳細につきましては、Nature IndexのFAQをご覧ください。

Nature Indexでは、研究成果発表数および連携の指標として以下の種類のカウント法を採用しています:

Count(カウント)(以前の名称:Article count(AC))– 論文において、ある国ないし機関から1人でも著者として名前が挙げられていれば、その国ないし機関の論文1点(Countを1)として数える計算方法。その論文に著者が1人しかいなくても、100人の著者がいても、それぞれの著者の所属国(または機関)において論文1点として数えられることになるため、同じ1本の論文が、複数の国(または機関)においてCountとして数えられることを意味します。

Share(シェア)(以前の名称:Fractional count(FC))– Shareは、ある論文に対する各共著者の相対的貢献度を考慮に入れる方法。論文1本につき最大Shareは1.0です。この1点分を、共著者全員が等しく貢献したという仮定のもと、共著者間で等しく分けます。例えば、10人の共著者がいる論文の場合、各共著者はそれぞれ0.1分のShareを割り振られることになります。(Nature Indexは、国、地域、または機関による論文への貢献を収集し、それらが2回以上カウントされないようにするために、Shareを使用します。機関のShareの合計は、個々の所属著者のShareを合計して計算されます。この計算法は、国、領土と地域で同じですが、一部の機関は海外に研究拠点があり、ホスト国・領土・地域の合計にカウントされるため、複雑になっています。)

Collaboration score(コラボレーションスコア;CS – CSは、各著者が貢献した論文における各自のShareの合計によって算出されています。

ネイチャー・ポートフォリオについて

ネイチャー・ポートフォリオは、生命科学・物理学・化学・応用科学など多岐にわたる分野で高品質のジャーナル、オンラインデータベース、研究者を対象としたサービスなど、科学界への貢献を目的としたサービスから成るポートフォリオを提供しています。

1869年創刊のNature は、世界有数の週刊の国際科学雑誌です。さらに、ネイチャー・ポートフォリオ、定期購読用のさまざまなNature ブランドのジャーナルをはじめ、さらには、オープンアクセスの主要な学際的ジャーナルであるNature Communications Scientific Reports など、研究機関と学会の協力によるNature Partner Journalsも出版しています。

オンラインのnature.comには、1カ月当たり900万人を超えるユーザーが訪れ、Nature のニュース記事やコメント記事、そしてNature Careersなどの科学求人サイトにアクセスしています。また、ネイチャー・ポートフォリオは、オンラインおよび対面によるトレーニングや専門家による英文校正サービスなど、さまざまな研究者支援サービスも提供しています。

詳しい情報については、nature.comをご覧いただき、@nresearchnewsのフォローをお願いいたします。ネイチャー・ポートフォリオは、シュプリンガー・ネイチャーの一部です。

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学術出版社として、シュプリンガー・ネイチャーは、シュプリンガー、ネイチャー・ポートフォリオ、BMC、Palgrave Macmillan、Scientific Americanなどの信頼されたブランドを有しています。詳しい情報は、springernature.com をご覧いただき、@SpringerNature のフォローをお願いいたします。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子

シュプリンガー・ネイチャー

コーポレート・アフェアーズ

Tel: +81 (0)3 4533 8204

E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

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