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[プレスリリース] シュプリンガー・ネイチャー・グループが日本の大学院生に奨学金を授与

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2021年7月に開催されたオンライン式典で授与されたユリウス・シュプリンガー奨学金は、勉学に対して経済的な支援をすることを目的としています。

東京 2021年8月6日

シュプリンガー・ネイチャー・グループの日本法人(東京都港区、代表取締役社長:アントワーン・ブーケ)は、学費を支払うために経済的な支援を必要とするユリウス・シュプリンガー奨学生2名を選出いたしました。奨学生にはそれぞれ12,500ユーロ(約150万円)が支給されます。ユリウス・シュプリンガー奨学金は、新型コロナウイルス感染症の拡大などで経済的に困難な状況にある大学生および大学院生が、大学で修学に励み、研究を継続できるように支援することを目的とした給付型の奨学金です。本奨学金の授与式は、2021年7月28日にオンライン開催されました。

ユリウス・シュプリンガー奨学生の募集は、2021年2月から5月に実施されました。今回、合計36名の応募があり、書類選考に残った応募者とのオンライン面接を経て、2名の奨学生が選ばれました。このたび、ユリウス・シュプリンガー奨学生として、帝京大学大学院薬学研究科博士課程3 年の鈴木悠乃氏および東京大学大学院数理科学研究科博士課程1年の島田了輔氏が決定いたしました。

ユリウス・シュプリンガー奨学⾦は、シュプリンガー・ネイチャーと提携しているユリウス・シュプリンガー・チャリティー基金から提供されます。ユリウス・シュプリンガー・チャリティー基金は、ドイツで経済的に困っている人たち、ならびに毎年、シュプリンガー・ネイチャーが活動しているほかの国に対して資金援助を行っています。今年は、基金からの援助が日本に対して行われることを受けて、大学生・大学院生を対象としたユリウス・シュプリンガー奨学⾦を発足しました。ユリウス・シュプリンガーは、シュプリンガー・ネイチャーの前身であるシュプリンガーを創業したドイツの出版事業者です。

シュプリンガー・ネイチャーの日本法人の代表取締役社長であるアントワーン・ブーケは、次のように述べています。「シュプリンガー・ネイチャーは、経済的に困窮している日本の大学院生の学業の継続をサポートできることを光栄に感じています。今回のユリウス・シュプリンガー奨学金が、鈴木さんと島田さんの学業と研究を支援できることを嬉しく思います。鈴木さんは薬学、島田さんは、数学の研究に真摯な姿勢で励んでおり、新たな挑戦をしたいという強い意欲を持っているのを感じました。今後のお二人の活躍を心より応援しています。」

ユリウス・シュプリンガー奨学生に選ばれた鈴木悠乃氏および島田了輔氏は、次のようにコメントしています。

帝京大学大学院薬学研究科の鈴木悠乃氏のコメント:「このたびはユリウス・シュプリンガー奨学生として選出していただき、ありがとうございます。非常に光栄な賞をいただけましたこと、大変嬉しく存じます。私は、標的組織に必要な量だけ薬を届けることを目的とした技術であるドラッグデリバリーシステム(DDS)に関する研究に興味を持っています。新たな創薬が難しくなっている昨今、既存の薬に工夫を施すことでより安全で効果的な薬へと昇華できるDDS技術は、薬物開発において重要な位置づけにあると考えています。将来は、このようなDDS技術を通して医療の進歩に貢献したいと考えており、そのために必要な能力を大学院での様々な経験を通して伸ばしていきます。」

東京大学大学院数理科学研究科の島田了輔氏のコメント:「このたびはユリウス・シュプリンガー奨学生として選出していただき誠にありがとうございます。私自身も普段から利用させてもらっている大変有名な出版社の方々から奨学金をいただけることは身に余る光栄です。私の専門は数学で、その中でも数論幾何学と呼ばれる分野を専攻しています。現在の私の興味はラングランズ予想にあり、これは平方剰余の相互法則という異なる二つの素数の間の不思議な相互関係に端を発する予想です。私はこのような数の神秘を、古代から信じられているように、宇宙の根源に関わるものだと考え研究しています。こうした研究を通じて宇宙の真理を解き明かすことが私の人生における目標であり、今後も邁進してまいります。」

今回の奨学生の募集は、ケイロン・イニシアチブならびに研究大学コンソーシアム(RU33)の協力のもと、実施されました。

研究大学コンソーシアムの幹事機関 自然科学研究機構研究力強化推進本部特任教授 小泉周氏からの祝辞:

「鈴木さん、島田さん、ユリウス・シュプリンガー奨学生の認定をおめでとうございます。コロナ禍において、大学における教育、研究ともに大きな試練に直面しています。多くの学生の皆さんは、大変な苦労をされている中で、過ごされていることだと思います。大学の教員から見ても、何か正解があるわけでもない中で、試行錯誤しながらいろいろなことを進めています。

鈴木さんと島田さんのお話をお聞きし、学問、学術こそがいまこの苦難な時代における最もパワフルな人類の力になると信じています。このような奨学プログラムといったかたちで支援を続けていく、そのためにも、シュプリンガー・ネイチャーのような学術出版社と大学、そして学生の皆さまが一緒になって、学問、学術を続けていくという意欲や力が重要ではないかと思っています」

NPO法人ケイロン・イニシアチブ副理事長および慶應義塾大学殿町先端研究教育連携スクエア特任講師 足立剛也氏からの祝辞:

「鈴木さん、島田さん、栄えあるユリウス・シュプリンガー奨学金の受賞、心からおめでとうございます。少しずつ世界の科学、イノベーションのかたちが変わっていく中で、研究自体ではなく、研究者の環境をサポートするさまざまな取り組みのもとに、多様、かつ破壊的な研究が進められています。セレンディピティーを生み出す新しい挑戦には、このような「安心の提供」というものが必須であると確信しており、我々ケイロン・イニシアチブも研究者を家族とともに支援する活動を推進しています。

鈴木さん、島田さんは本奨学金を最大限に活用し、これまでどおり研究に真摯に取り組むとともに、国内の自分の専門の殻に閉じこもらず、新たなセレンディピティーにつながる、国や分野を超えたさまざまな出会いにも目を向けていただければ大変嬉しく思います。」

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上段右から1番目:鈴木悠乃氏(帝京大学)、上段右から2番目:島田了輔氏(東京大学)
上段左から1番目:アントワーン・ブーケ(シュプリンガー・ネイチャー)、中段右から2番目:小泉周氏(研究大学コンソーシアム、自然科学研究機構)、中段左から2番目:足立剛也氏(ケイロン・イニシアチブ)

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The Source - Julius Springer Scholarship for 2021 Awarded to 2 Japanese PhD Students

Julius Springer Charitable Fund e.V.について

慈善団体であるJulius Springer Charitable Fund e.V. (ユリウス・シュプリンガー・チャリティー基金)は、2004年7月に設立され、必要としている人々のために積極的な財政支援をしています。本団体からの支援の要件は、個人に過失がなく、または特定の理由により支援を必要としている人で、個人または外的な手段によって、経済的に困難な状況から抜け出すことができず、社会福祉制度によって支援、または十分な支援を受けることができない人であることです。詳しくは、基金のページをご覧ください。

シュプリンガー・ネイチャー・グループについて

シュプリンガー・ネイチャーは、研究者、教育者、臨床医、その他の専門家に発見への扉を開きます。当社の出版物、書籍、ジャーナル、プラットフォーム、およびテクノロジーソリューションは、世界中で毎日何百万もの人々に届いています。175年以上にわたり、当社のブランドとインプリントは、これらのコミュニティーに信頼される知識の源となっております。今日では、これまで以上に、これらの人々が基礎的な知識にアクセスし、それらの研究を信頼し、理解し、利用できるようにすることが当社の責任であると考えています。それによって、研究者がより良い成果を創出し、前進し、後に続く世代の恩恵となるよう努めています。

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ケイロン・イニシアチブについて

NPO法人ケイロン・イニシアチブは、研究者と家族、サイエンスと社会を繋ぐことを目指し、以下のような「研究者と家族」の支援を通じて、産官学「民」連携による科学とイノベーションの推進に貢献します。

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詳細は、ケイロン・イニシアチブのページをご覧ください。

研究大学コンソーシアム(RU33)とは

研究大学コンソーシアムは、研究力強化に取り組む33の大学及び大学共同利用機関法人がコンソーシアムを形成し、各大学等における先導的取組や課題の発信・共有によりネットワーク化を推進するとともに、それら取組の全国的な普及・定着を目的として設立されました。
研究大学コンソーシアムでは、研究力強化に積極的に取り組む大学等における好事例の共有やHP・シンポジウムを活用した情報発信、また、研究力強化の方策・体制の整備等に関する共通の課題について、必要に応じて文部科学省関係部局を交えた俯瞰的な討議を行っています。
詳細は、研究大学コンソーシアムのページをご覧ください。

本件に関するお問い合わせ

宮﨑 亜矢子

シュプリンガー・ネイチャー

コーポレート・アフェアーズ

Tel: +81 (0)3 4533 8204

E-mail: ayako.miyazaki@springernature.com

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