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[プレスリリース] COVID-19パンデミックの状況下にあった2020年の研究成果を追跡するNature Index 2021 Annual Tablesでは、各研究機関のランキングに前年からの大きな変動は見られず

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Nature Index 2021 Annual Tables が発表されました。

2021年5月20日

Nature Index Annual Tablesは、高品質な自然科学研究を行っている機関および国・地域を調べたもので、本日、2021年度版が発表されました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)による困難や制限があった中、2020年にランキング上位にいた研究機関の顔ぶれは、2019年と大きく変わらなかったことが明らかになりました。

Share*を指標としてみると、中国科学院(CAS)、ハーバード大学(米国)、マックスプランク協会(ドイツ)、フランス国立科学研究センター(CNRS)、スタンフォード大学(米国)などの研究機関は、今年のNature Index Annual Tablesでも上位を維持していました。なお、東京大学(日本)は11位から8位に、ケンブリッジ大学(英国)は14位から10位に順位を上げています。

Nature Index Annual Tablesにおいて、米国、ドイツ、英国、日本などの先進国ではこの数年、研究成果の発表が減少していましたが、2020年にはこの減少が鈍化もしくは増加に転じたことが見受けられたとともに、想定していなかった結果もありました。たとえば、Nature Indexが追跡する自然科学ジャーナル82誌において、中国のAdjusted Share**の成長は、2015〜2019年の4年間の年平均成長率は13%超であったのに対し、2020年には1.1%に減少しました。

Nature Indexの創設者であるDavid Swinbanks(デイヴィッド・スウィンバンクス)は、次のように述べています。

「研究成果の発表の動向に大きな注目が集まった2020年、Nature Index Annual TablesのShareを見ると、多くの研究機関が自然科学分野における研究成果の発表数を維持または向上させており、研究セクターに復元力があることがわかります。Nature Index Annual Tablesからはさらに、厳しい状況の中で、より実績のある大規模な研究機関と並んで非常に優れた結果を素早く発表した研究機関の適応力や、地域が明らかになっています。

私たちの分析によると、COVID-19による影響で研究室が閉鎖されたり実験が中断されたりしたにもかかわらず、研究成果の発表の継続的な増加がみられたのは、COVID-19に関連した論文の急増に一因があると考えられます。

Annual Tablesは、自然科学分野における高品質な研究成果発表を見るための良い指標ですが、研究の質や機関のパフォーマンスを評価する際には、Annual Tablesから得られる知見を、自然科学以外の研究分野が対象になっている指標、ならびにデータやソフトウエア、知的財産といった科学的アウトプットなど、他の指標と合わせて使うことをお勧めします」

Nature Indexのウェブサイトで、Annual Tablesとともに掲載されているRising Starsの分析では、2020年の高品質な研究成果の発表において成長の著しかった研究機関を紹介しています。2019年の顔ぶれとは大きく異なり、2020年のRising Starsのトップ10にはアジア、ヨーロッパ、北米、アジア太平洋地域の研究機関がランクインし、よりグローバルな面々となりました。トップ10に入っているのは、2019年から2020年にかけてAdjusted Shareが66%以上増加した南方科技大学(中国)、33%増加したクイーンズランド大学(オーストラリア)、27%以上増加した理化学研究所(日本)などです。

<Nature Index 2021:日本の研究力>

2021年のNature Index Annual Tablesによると、日本の研究力は、米国、中国、ドイツ、英国に続いて世界5位でした。2019年から2020年にかけて、日本のAdjusted Shareは、4.2%増加しました

日本について見ると、日本が一番強い自然科学分野は化学であり、物理科学、生命科学、地球環境科学と続きます。

2021年の世界の研究機関ランキングでは、トップ100にランクインしたのは、東京大学(2021年:8位、2020年:11位)、京都大学(2021年:37位、2020年:37位)、大阪大学(2021年:65位、2020年:63位)、理化学研究所(2021年:74位、2020年:101位)、東北大学(2021年:76位、2020年:88位)、名古屋大学(2021年:91位、2020年:119位)、および東京工業大学(2021年:100位、2020年:80位)です。

2019-2020年のRising Starsのトップ10には、Adjusted Shareが27%以上増加した理化学研究所(7位)および26%増加した名古屋大学(10位)がランクインしました。

※ この順位は2021年5月20日時点のものです。Nature Indexのデータベースは定期的に更新されますので、最新の順位はnatureindex.comをご参照ください。

2021年の研究機関ランキングは、2020年1月1日から2020年12月31日までのNature Indexデータにもとづいて、Shareでランキングされた上位機関を示しています。2020年の研究機関ランキングは、natureindex.comでご覧いただけます。

*Nature Indexの特徴的な指標であるShare(シェア)は、機関、都市、国・地域に割り当てられた論文の小数カウントで、その機関や地域に所属する著者の割合を考慮しています。

** Adjusted Share(調整後のシェア)は、Nature Indexに掲載されている論文の総数の年間変動を考慮しています。詳細については、natureindex.com/glossaryをご覧ください。

分野別のテーブルや指標など、そのほかの記事については、natureindex.comをご覧ください。

注記: Nature Indexは、機関の研究パフォーマンスにおける1つの指標です。Nature Indexのリストを作成するために使用されるCountとShareの測定基準は、その分野の主要な科学者によって構成された独立したパネルによる評判にもとづいて選択された、82の自然科学ジャーナルにおける機関または国・地域の論文出版の成果にもとづいています。Nature Indexは、研究の質と機関のパフォーマンスを検討する際には、そのほかの多くの要素を考慮しなければならないことを認識しています。Nature Indexの指標のみを機関や個人の評価に使用することを推奨しておりません。Nature Indexのデータとメソッドは透明性があり、natureindex.comのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにもとづいて利用可能です。

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※ 本プレスリリースの原本(一部を除いて)は英語であり、日本語は参考翻訳です。

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